内容紹介
フォトニック結晶の最先端が分かる! 話題の準結晶、左手系材料も詳述。
誕生から25年、「フォトニック結晶」は、いよいよ光集積回路としての応用が視野に入ってきました。本書は、フォトニック結晶の基礎を網羅し、具体的な光特性や作製・評価技術、デバイス応用技術を詳細に述べています。光集積回路への関心が高まっている二次元フォトニック結晶を詳細に取扱い、マイクロ波やテラヘルツ波への応用が詳しく述べられています。併せて、2011年にノーベル化学賞を受賞した「準結晶」についても1章を割き、左手系材料やメタ材料も紹介されています。
このような方におすすめ
・光デバイス、光集積回路、光ファイバ、光通信、微細加工やナノ加工等の諸分野に関連する技術者、研究開発者、教育者、大学院学生。
・上記光関連技術の企業や大学の研究室、および図書館。
目次
主要目次
第Ⅰ部 フォトニック結晶の理論モデル
第1章 無限結晶モデル
第2章 有限結晶のモデル
第3章 準結晶とアルキメデスのタイル貼り
第4章 金属構造の特性
第Ⅱ部 フォトニック結晶の光学特性
第5章 電磁波の制御
第6章 フォトニック結晶とメタ材料の屈折率特性
第7章 ゼロ次元微小共振器における光閉込め
第8章 フォトニック結晶による非線形光学
第Ⅲ部 フォトニックバンドギャップ構造の作製,特性評価,および応用
第9章 平面形集積光学
第10章 微小光源
第11章 フォトニック結晶ファイバ
第12章 光学における三次元構造
第13章 マイクロ波とテラヘルツ波のアンテナと回路
第14章 むすびと展望
略語リスト
参考文献
索引
巻末付録:カラー参考資料
詳細目次
第Ⅰ部 フォトニック結晶の理論モデル
第Ⅰ部のまえがき
第1章 無限結晶モデル
1.1 平面波展開
1.1.1 Maxwell方程式
1.1.2 Floquet-Blochの定理
1.1.3 電磁界演算子のエルミート性
1.1.4 Bloch関数の簡単な例
1.1.5 一般の平面波展開法
■電界法
■磁界法
■二次元結晶
■ηのFourier変換
■Hoの方法
1.2 有限結晶フォトニックバンドギャップ計算のその他の方法:KKR 法
1.3 フォトニックバンド図
1.3.1 既約Brillouin領域
■一次元結晶のバンド図
■誘電率の正弦波変調
■Bragg多層膜
■二次元フォトニック結晶のバンド図
■正方格子
■三角格子
■グラファイト形六方格子
1.3.2 一次元と二次元フォトニック結晶における軸ずれ伝搬
■三次元フォトニック結晶のバンド図
1.4 欠陥を持つ無限大結晶
1.4.1 点欠陥
■一次元フォトニック結晶における点欠陥
■二次元と三次元フォトニック結晶における点欠陥
1.4.2 点欠陥の結合
1.4.3 スーパセル法
1.4.4 固体物理学の強結合法による方法
1.4.5 拡張欠陥
1.4.6 半無限結晶と表面欠陥
1.4.7 欠陥があるときとないときのフォトニック結晶の状態密度
第2章 有限結晶のモデル
2.1 伝達,反射,および透過行列の定式化
2.1.1 反射と透過行列
2.1.2 Pendryの方法
■周期的結晶における分散関係の決定
■有限結晶への適用
2.2 時間領域有限差分法
2.2.1 Maxwell方程式の数値解析法
2.2.2 パルス入射の場合
2.2.3 吸収領域と境界条件
2.2.4 FDTD法の実行と収束
2.2.5 FDTD法による点光源で得られた実験結果
2.3 散乱行列法
2.4 その他の方法:積分法と微分法,有限要素法,および実効媒質理論
2.5 フォトニック結晶のモデル化に使う数値解析プログラム
第3章 準結晶とアルキメデスのタイル貼り
3.1 フォトニック準結晶
3.2 アルキメデスのタイル貼り
3.3 フォトニック準結晶から光の局在化へ
第4章 金属構造の特性
4.1 バルク金属:Drudeモデル,表皮効果,および金属損失
4.1.1 Drudeモデル
4.1.2 低周波数領域:表皮効果と金属損失
4.1.3 赤外から可視と紫外領域
4.2 低周波における金属周期構造
4.2.1 プラズモンフォトニックバンドギャップ
4.2.2 金属と誘電体フォトニック結晶の透過スペクトル
4.2.3 金属フォトニック結晶における完全バンドギャップ
4.2.4 連続金属素子構造と非連続金属素子構造
4.3 光周波数における金属周期構造:理想的な分散性無損失誘電体
4.4 表面波
4.4.1 金属・誘電体境界平面における表面プラズモン
4.4.2 周期変調された金属・誘電体界面における表面プラズモン伝搬と電磁界の局部的増強
4.4.3 Wood の異常回折:現象論
4.4.4 周期的に変調された金属・誘電体界面における表面プラズモン伝搬のフォトニックバンドギャップ
4.4.5 光子の篩い
4.4.6 無線周波数における金属の表面波
■平面の金属表面と表面インピーダンスの概念
■周期構造を持つ金属表面
第Ⅱ部 フォトニック結晶の光学特性
第Ⅱ部へのまえがき:フォトニック結晶の多様な側面
第5章 電磁波の制御
5.1 フォトニック結晶反射鏡
5.1.1 半無限フォトニック結晶:反射鏡か回折格子か?
5.1.2 半無限結晶における鏡面反射
5.1.3 有限フォトニック結晶による半透明反射鏡
5.2 フォトニック結晶導波路
5.2.1 屈折率導波とフォトニックバンドギャップ導波
5.2.2 三次元フォトニック結晶導波路
5.2.3 二次元フォトニック結晶導波路
5.2.4 状態密度と導波モードの多重度
5.2.5 屈折率導波とフォトニックバンドギャップ導波の共存
■欠陥モードの性質
■フォトニックバンドギャップ導波路における周期性の効果
5.3 共振器
5.3.1 局在モード. 損失の起源
5.3.2 状態密度
5.3.3 結合共振器で形成された導波路
5.4 屈折率導波との組合せ構造. 光ライン
5.4.1 一様導波路の光円錐
5.4.2 仮想的周期性
5.4.3 真の一次元周期性
5.4.4 二次元フォトニック結晶におけるチャンネル導波路
第6章 フォトニック結晶とメタ材料の屈折率特性
6.1 位相屈折率,群屈折率,およびエネルギー伝搬
6.1.1 位相速度と群速度
6.1.2 屈折率と分散図
6.1.3 実効的位相屈折率と群屈折率
6.2 周期媒質と均質媒質界面における波の屈折
6.2.1 均質媒質における屈折法則のまとめ
6.2.2 よく知られた異方性媒質:複屈折固体結晶
6.2.3 フォトニック結晶における透過波の構成
6.3 スーパプリズムと負の屈折率効果
6.3.1 スーパプリズム効果
6.3.2 超屈折と負の屈折
6.4 メタ材料
6.4.1 誘電率と透磁率の同時制御
6.4.2 完全左手系材料スラブにおける負の屈折
6.4.3 完全左手系材料スラブの無非点収差
6.4.4 完全レンズかスーパレンズか?
6.4.5 負の屈折率メタ材料の作製
6.4.6 電磁遮蔽
第7章 ゼロ次元微小共振器における光閉込め
7.1 微小共振器光源. 原理と効果
7.1.1 古典的効果:自然放出の角度再分配と平面微小共振器の例
7.1.2 微小共振器における自然放出のダイナミクス
■強結合.励起子・光子混合状態の形成
■弱結合とPurcell効果
■単一モード発光,低しきい値微小レーザ,および「無しきい値レーザ」
7.2 ゼロ次元微小共振器における三次元光閉込め
7.2.1 異なる種類のゼロ次元微小共振器
■微小円柱
■微小ディスク
■フォトニック結晶微小共振器
7.2.2 弱結合形態における自然放出の制御. 実験結果
7.2.3 自然放出の単一モード結合
7.2.4 固体「人工原子」における強結合状態
第8章 フォトニック結晶による非線形光学
8.1 位相整合問題
8.2 χ(1)フォトニック結晶
8.2.1 一次元χ(1)フォトニック結晶
8.2.2 二次元χ(1)フォトニック結晶
8.3 χ(2)フォトニック結晶
8.3.1 一次元χ(2)フォトニック結晶
8.3.2 二次元χ(2)フォトニック結晶
8.4 χ(3)フォトニック結晶
第Ⅲ部 フォトニックバンドギャップ構造の作製,特性評価,および応用
第Ⅲ部へのまえがき
第9章 平面形集積光学
9.1 目標,新デバイス,および課題
9.2 集積光学の基礎とフォトニック結晶の導入
9.2.1 従来形導波路
■横方向閉込めとストライプ形導波路
9.2.2 集積光学におけるフォトニック結晶
■基本デバイス
■光取出し
■二次元結晶の選択
■平面形導波路の選択
■Blochモードにおける損失の定量化
■作製法とマスク描画技術
9.3 基板を用いる平面形フォトニック結晶
9.3.1 DBRとDFBレーザダイオード構造
9.3.2 フォトニック結晶. 導波モードの強い摂動
9.3.3 空孔直径と結晶周期の選択
9.3.4 InP系とGaAs系システムの具体的パラメータ
9.3.5 深いエッチング
9.4 薄膜導波路フォトニック結晶
9.4.1 自立形薄膜
9.4.2 薄膜の転写
9.5 マクロ多孔質シリコンフォトニック結晶
9.6 集積光学におけるフォトニック結晶の評価法
9.6.1 内部光源法
9.6.2 端面励振法
■改良形の結合テーパ
9.6.3 広帯域透過・反射分光
9.7 フォトニック結晶集積光デバイスの損失
9.7.1 平面形フォトニック結晶導波路の損失解析
■薄膜フォトニック結晶の損失
9.7.2 直線フォトニック結晶チャンネル形導波路の伝搬損失測定
9.7.3 遅い光形態における損失
9.7.4 フォトニック結晶の導波路曲がりと曲がり損失
9.7.5 フォトニック結晶共振器とQ値
9.8 フォトニック結晶デバイスとその機能. 最近の進展
9.8.1 デバイスの分類
9.8.2 共振器・導波路の結合
9.8.3 超高Q共振器
9.8.4 他のデバイスと光機能
■偏光分離と変換デバイス
■広帯域分岐器と結合器
■テーパと結合器
■Mach-Zehnder形変調器
■フォトニック結晶導波路の低群速度領域を直接利用する遅い光デバイス
■共振形分光デバイス
■変形導波路アレイに基づく分光器デバイス
■二次元フォトニック結晶の分散と「スーパプリズム」効果に基づく分光器デバイス
■カットオフ導波路の縦続接続
■非線形「ゲート」デバイス
第10章 微小光源
10.1 高効率発光ダイオード
10.1.1 閉込めなしの光取出し法
10.1.2 平面閉込めを通した取出し効率の増強
10.1.3 二次元フォトニック結晶を用いる取出し効率の改善
■GaN に基づくLED
10.2 フォトニック結晶で閉じ込められたリッジ形導波路レーザ
10.3 バルクフォトニック結晶バンド端レーザ
10.4 フォトニック結晶VCSEL
10.5 微小共振器レーザ
10.6 単一光子光源への可能性
第11章 フォトニック結晶ファイバ
11.1 もう一つの周期構造
11.2 微細構造光ファイバの作製
11.3 固体コア微細構造光ファイバ
11.3.1 閉込め損失と第二モードの透過
11.3.2 減衰と曲がり損失
11.3.3 波長分散特性
11.3.4 固体コア微細構造光ファイバの主な応用
11.4 真のフォトニック結晶ファイバ
11.4.1 フォトニックバンドギャップクラッド
11.4.2 有限クラッドを持つフォトニック結晶の損失
11.4.3 最適構造のフォトニック結晶ファイバ
11.4.4 フォトニック結晶ファイバの主な応用
第12章 光学における三次元構造
12.1 三次元構造で提案された幾何学的構造
12.1.1 全方向性フォトニックバンドギャップの構造
12.1.2 不完全バンドギャップの三次元構造
12.2 光領域の作製プロセス例と三次元フォトニック結晶の作製
12.2.1 完全バンドギャップ構造
■ヤブロノバイト
■井桁積み構造
■他の作製法
12.2.2 不完全バンドギャップ構造
■人工オパール
■自己クローン化
12.3 光領域の三次元金属フォトニック結晶
12.4 三次元フォトニック結晶と発光体
第13章 マイクロ波とテラヘルツ波のアンテナと回路
13.1 フォトニック結晶アンテナ
13.1.1 フォトニック結晶アンテナ基板
■誘電体フォトニック結晶
■高インピーダンス面で作られる基板
13.1.2 フォトニック結晶アンテナ反射器.
13.1.3 フォトニック結晶アンテナレドーム.
13.2 制御可能な構造とメタ材料
13.2.1 電気制御可能なフォトニック結晶の原理と特性
13.2.2 電気制御可能なフォトニック結晶アンテナ
13.2.3 アンテナとメタ材料
13.3 マイクロ波回路と超小形フォトニック結晶.
13.3.1 超小形フォトニック結晶
13.3.2 超小形フォトニック結晶で作られたマイクロ波フィルタと導波路
13.4 マイクロ波からテラヘルツ波へ
13.5 マイクロ波から光へ
13.5.1 フォトニック導波路のインピーダンス整合
13.5.2 フォトニック結晶THz 結像システム
13.5.3 「マイクロ波由来」のナノ構造とナノデバイス
第14章 むすびと展望
付録
・付録A 散乱行列法:有限ロッドで形成した有限二次元結晶における電界の決定
A.1 入射電界
A.2 ロッド内部の電界
A.3 ロッド近くの電界
・付録B 磁性フォトニック結晶
・付録C 完全左手系材料スラブの無収差:全電界に対する積分
略語リスト
参考文献
索引
巻末付録:カラー参考資料
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