内容紹介
よりよいテストを提供するための評価手法「項目反応理論」をRを使って習得 !!
IRTと言われる項目反応理論は、新しいテスト理論です。従来のテスト理論では母集団やテスト問題が異なる場合、テスト得点を比較することはできませんでした。それらの問題を解決するために登場したのがIRTです。大規模テストにおいて管理・運営・測定・評価の手法として大きな役割を果たしています。近年、日本にもその手法が定着しつつあります。
Rを使って、IRTに関するさまざまな知識の習得を目標に、読むだけではイメージしにくかったパラメタの推定方法を、手順を追体験しながら理解することができます。
このような方におすすめ
・学校教員の方
・教育関連企業にお勤めの方
・試験問題制作にかかわる方
目次
主要目次
はじめに
第Ⅰ部 基礎編
第1章 項目反応理論入門
第2章 Rの基礎
第3章 古典的テキスト理論とその限界
第4章 項目特性曲線とテスト特性曲線
第5章 パラメタ推定の基礎:最尤推定法の考え方
第6章 項目情報関数とテスト情報関数
第Ⅱ部 中級編
第7章 IRTの仮定
第8章 パラメタ推定法
第9章 適合度
第10章 多値型IRTモデル
第11章 等化
第Ⅲ部 実践編
第12章 項目分析
第13章 パッケージを用いたIRT分析
第14章 Rによる等化
第15章 自動テスト構成
詳細目次
はじめに
第Ⅰ部 基礎編
第1章 項目反応理論入門
1.1 標本依存性と項目依存性
1.2 項目反応理論の登場
1.3 項目特性曲線
1.4 等化について
1.5 本書の構成
1.6 IRTを学ぶための参考図書
1.7 IRTのためのソフトウエア
1.8 本書で用いる用語と表記について
第2章 Rの基礎
2.1 Rのインストールと使い方
2.2 パッケージのインストール
2.3 Rを使ってみよう
2.4 Rにおける変数(オブジェクト)の取り扱い
2.5 基本的な統計処理について
2.6 外部データファイルの読み込み
2.7 関数を定義する
2.8 Rを学ぶための参考図書
2.9 まとめ
第3章 古典的テキスト理論とその限界
3.1 項目反応とテスト得点
3.2 標準得点と偏差値
3.3 項目を評価する指標
3.4 テストの信頼性
3.5 RによるCTT分析
3.6 CTTの問題
3.7 まとめ
第4章 項目特性曲線とテスト特性曲線
4.1 IRTの利点
4.2 IRTモデル
4.3 項目特性曲線の解釈
4.4 ロジスティックモデルと正規累積モデル
4.5 ロジットによる表現
4.6 不変性とラッシュモデル
4.7 テスト特性曲線
4.8 まとめ
第5章 パラメタ推定の基礎:最尤推定法の考え方
5.1 最尤推定法とは
5.2 IRTにおけるパラメタの推定
5.3 最尤推定法による能力パラメタの推定
5.4 まとめ
第6章 項目情報関数とテスト情報関数
6.1 CTTにおける測定の精度
6.2 IRTにおける測定の精度
6.3 項目情報関数
6.4 項目情報関数の具体例
6.5 テスト情報関数
6.6 相対効率
6.7 まとめ
第Ⅱ部 中級編
第7章 IRTの仮定
7.1 IRTにおける一次元性
7.2 局所独立性
7.3 局所独立性の確認
7.4 局所独立性が満たされない場合への対処
7.5 まとめ
第8章 パラメタ推定法
8.1 能力パラメタの推定
8.2 項目パラメタの推定
8.3 まとめ
第9章 適合度
9.1 適合度の指標
9.2 モデル比較のための指標
9.3 まとめ
第10章 多値型IRTモデル
10.1 多値反応とは
10.2 段階反応モデル
10.3 部分得点モデル
10.4 その他の多値型モデル
10.5 期待得点とテスト特性曲線
10.6 多値型IRTモデルの情報関数
10.7 パラメタの推定
10.8 まとめ
第11章 等化
11.1 尺度の不定性
11.2 基準集団と共通尺度
11.3 等化の有効性
11.4 等化の基礎理論
11.5 等化の条件
11.6 等化計画
11.7 等化係数推定法
11.8 その他の等化法
11.9 まとめ
第Ⅲ部 実践編
第12章 項目分析
12.1 項目分析の目的
12.2 項目分析における統計的指標
12.3 まとめ
第13章 パッケージを用いたIRT分析
13.1 パッケージの準備
13.2 語彙テストデータの項目分析
13.3 項目パラメタの推定
13.4 適合度のチェック
13.5 項目/テスト特性の視覚化
13.6 能力パラメタの推定
13.7 まとめ
第14章 Rによる等化
14.1 pLinkパッケージのセットアップ
14.2 2パラメタ・ロジスティックモデルにおける適用
14.3 段階反応モデルにおける適用
14.4 まとめ
第15章 自動テスト構成
15.1 自動テスト構成の概略
15.2 テスト仕様とそのモデル化
15.3 Rによる自動テスト構成
15.4 まとめ
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補足資料
パッケージに関すること
irtoys(第13章)
ノンパラメトリック特性曲線を描画するための関数
tgp() の名前が,2016年10月に更新されたバージョン0.2.0から
tgf() に変更になったようです。関数名が変わっただけで,基本的な動作は同様です。
glpkAPI(第15章)
glpkAPI パッケージにはOS X Mavericks以降用のバイナリが提供されておらず,通常の方法ではインストールができません。以下の手順でインストールします。
(注)各ディレクトリのアクセス権限によっては,ファイルの書き込みやコンパイル等の操作が許可されない(permission denied)ことがあります。その場合は,適宜アクセス権限を変更してから作業するか,sudo コマンドを使用してください。ライブラリのインストール(下記1や2)の際に,「コンパイラがないのでインストールしますか」という主旨のメッセージが表示されて選択を求められることがあります。その場合は,指示に従ってXcode(コンパイラを含む開発ツールです)をインストールし,メッセージが出た直前の手順から作業をやり直してください。
- GMP ライブラリ(https://gmplib.org/)をインストールする。
- https://gmplib.org/ から,ソースファイル「gmp-X.Y.Z.tar.bz2」(X.Y.Z にはバージョン番号が入る。2017年5月時点での最新版はgmp-6.1.2.tar.bz2)をダウンロードし,適当な作業ディレクトリ(ここでは/usr/local/srcとする)にコピーする。なお,圧縮形式が異なるソースファイル(最後の拡張子がlz やxzのもの)があるが,自力で展開さえできればどれを用いてもよい。
- ターミナルを開き,作業ディレクトリでソースファイルを展開し,作成されたフォルダに移動する。
cd /usr/local/src # 作業ディレクトリに移動
tar -jxvf gmp-X.Y.Z.tar.bz2 # ソースファイルを展開
cd gmp-X.Y.Z # 展開されたディレクトリに移動
- 以下のコマンドを順に実行すると,/usr/local 以下の所定のディレクトリに各ファイルがインストールされる。
./configure
make # ライブラリのビルド
make check # 検証(エラーが出ないか確認)
make install # ライブラリのインストール
- GLPK ライブラリ(https://www.gnu.org/software/glpk/)をインストールする。
- http://ftp.gnu.org/gnu/glpk/ からソースファイル「glpk-X.Y.tar.gz」(X.Y にはバージョン番号が入る。2017年5月時点での最新版はglpk-4.61.tar.gz)をダウンロードし,適当な作業ディレクトリ(ここでは/usr/local/src とする)にコピーする。
- ターミナルを開き,作業ディレクトリでソースファイルを展開し,作成されたフォルダに移動する。
cd /usr/local/src # 作業ディレクトリに移動
tar -zxvf glpk-X.Y.tar.gz # ソースファイルを展開
cd glpk-X.Y # 展開されたディレクトリに移動
- 以下のコマンドを順に実行すると,/usr/local 以下の所定のディレクトリに各ファイルがインストールされる。
./configure --with-gmp
make # ライブラリのビルド
make check # 検証(エラーが出ないか確認)
make install # ライブラリのインストール
- glpkAPI パッケージをソースからインストールする。
- CRANのglpkAPIのページhttp://cran.r-project.org/web/packages/glpkAPI/index.html からglpkAPI パッケージのソースファイル「glpkAPI_X.Y.Z.tar.gz」(X.Y.Z にはバージョン番号が入る。2017年5月時点での最新版はglpkAPI_1.3.0.tar.gz)をダウンロードし,適当な作業ディレクトリ(ここでは/usr/local/src とする)にコピーする。
- ターミナルを開いて,ダウンロードしたソースファイルのあるディレクトリに移動し,以下のコマンドを実行する。
cd /usr/local/src # 作業ディレクトリに移動
R CMD INSTALL --configure-args="--prefix=/usr/local \
--enable-gmp --enable-chkargs" glpkAPI_X.Y.Z.tar.gz
prefix=には,GMP およびGLPK のファイルがインストールされたディレクトリを指定する。上記1および2の手順でインストールした場合は「/usr/local」でよいが,そうでない場合は適宜置き換える。行末の\はコマンドを複数行にわたって書くための記号で,\を省略して1 行に続けて書いても構わない。以上でインストールは完了である。