テスト駆動開発(TDD)を原点から学ぶ
Kent Beck 著/和田卓人訳
ISBN:978-4-274-21788-3
定価(本体2,800円+税)
A5判/344頁
本書『テスト駆動開発』は、テスト駆動開発(TDD)の提唱者であるKent Beckによる解説書Test-Driven Development by Example(Addison-Wesley, 2003)の日本語訳です。日本語訳は、国内におけるTDDの実践と指導の第一人者として知られる和田卓人氏によるものです。
TDDはソフトウェア開発技法のひとつで、開発者テストを書き、実装を行い、そしてリファクタリングすることで、設計を洗練させてゆくというものです。本書では、著者が例題をTDDで開発していく様子が事細かに描かれており、それを追っていくことで、TDDの実際を体験しながら学ぶことができます。
「動作するきれいなコード」。Ron Jeffriesのこの簡潔な言葉が、テスト駆動開発(TDD)のゴールだ。動作するきれいなコードはあらゆる意味で価値がある。
……
だが、どうすれば動作するきれいなコードにたどり着けるのだろうか。さまざまな制約が「きれいな」どころか「動作する」の前にも立ちふさがる。私たちは、不安を抱えて考え込んでしまうのをやめにして、代わりに自動化したテストによって開発を推し進める。このような開発スタイルはテスト駆動開発(Test-Driven Development: TDD)と呼ばれる。
……
カギは欠陥を減らすことにある。欠陥を見つけて修正するまでの時間が短ければ、コストは小さく、しばしば圧倒的に安上がりになる……欠陥を減らすことによって、心理的、社会的な副次的効果も生まれる。私自身のプログラミングプラクティスもTDDを始めてから心配事が減った。もう多くのことを一度に心配する必要はなくなったからだ。
TDDはテスト技法ではない……TDDは分析技法であり、設計技法であり、実際には開発のすべてのアクティビティを構造化する技法なのだ。
――Kent Beck
(「まえがき」および本文より)
本書は、
『リファクタリング』、
『エクストリームプログラミング』、
『新装版 達人プログラマー』と同様に、ピアソン桐原(現桐原書店)が2013年に原書出版社のPearsonグループから脱退したことに伴い、日本語版の入手が難しくなっていた書籍の一冊です。
本書の翻訳発行に際して注意が払われた点としては、以下が挙げられます。
- 原書からあらためて翻訳がなされた(翻訳過程では、レビュアの島田浩二氏、高木正弘
氏、安井力氏をはじめ多くの方の協力を得てブラッシュアップがなされた)。
- 原書発行から現在までの状況の変化を鑑みて、細かな見直しがなされた(記述や、使われるツールを適宜更新)。
- 小刻みに書き換わるコードの変化を追いやすいよう、表現に工夫(省略された部分を適宜補い、変更部分を打消線や太字で明示し、各章末にはその時点でのコード全体を掲載するなど)。
- 現在のTDDが置かれた状況を俯瞰して解説する訳者解説を、巻末に追加(「付録C:テスト駆動開発の現在」)。
- 書名・版型・装丁・定価が変更された(よりコンパクトで安価に)。
- 電子版を提供( https://estore.ohmsha.co.jp/titles/978427421788P ほか)。
ご協力いただいたみなさまに感謝いたします。
ソフトウェア開発に携わる方の多くが、テスト駆動開発ないしTDDという言葉をご存じのことと思います。ですが、TDDの実際を知り、実践されている方は、意外に少ないとも聞きます。この機会に、TDDを基本から学び、スキルの一つに加えてはいかがでしょうか。
本書の目次等は、オーム社公式サイトの商品紹介ページをご覧ください。
冒頭部分は、オーム社eBook Storeの本書のページにあるサンプルファイルのリンクからご覧いただけます。
ソフトウェア開発に興味をお持ちの多くの方に、お読みいただき、お役立ていただければ幸いです。
(書籍編集局 森田)