太いケーブルの漏れ電流も正確に測定できる フレキシブルCT
近年では、電気設備の大型化に伴いケーブルなども太くなっており、電路の漏れ電流を測定することは、クランプ部分の口径が固定されているため困難となってきている。従来の漏れ電流センサーは、口径の大きいものでも65 ~100φ 程度しかない。それ以上の口径では、精度やCT の重さを支えるための機構部分で技術的に困難なほか、価格でも大幅なコストアップとなってしまうなど汎用で実用となる商品がなかった。また、現状の大きさでうまくクランプできたように見えても勘合部分にわずかな間隙ができたり、表示部分がケーブルなどの陰になり見えないことなどがあり、そのような場所での測定は非常に困難で、測定できない場合が多い。
そこで、測定箇所を選ばず、ケーブルをクランプする口径が大きな漏れ電流センサーが望まれており、本製品「フレキシブルCT」の開発に至った。
■構 成
フレキシブルCT は小型のコア(パーマロイ)にコイルを巻いたひとつのピースと呼ばれるCT から構成されており、このピースを複数個つなぎ合せループ状にすることにより、漏れ電流センサーとなる。各ピースは着脱可能で、ピースの数を増減することにより、口径を自由に変更可能である。標準ピース数は10 ピースで、円形状にした場合には内径φ130 となる。測定部の漏れ電流センサーとしては、フレキシブルCT のほかに、分電盤用として口径φ25 の小型のものやφ40、φ65 の大きさの漏れ電流センサーを取り付けることができる構成となっており、測定場所に応じて使い分けることができる。
■特 徴
① 大きさのフレキシブル性
漏れ電流センサーを構成するピースの数を変更することが可能であり、測定箇所に応じて口径を自由に変更することができる(最小構成は8ピース)。従来の漏れ電流センサーでは、ケーブルが太く測定できない場所があると、その場所はデータの取得ができずに終わっていたが、フレキシブルCT ではつみ残しがなくなり、設備全体の漏れ電流を把握できる。
② 形状のフレキシブル性
各ピースの連結部分が屈曲するため、漏れ電流センサー自体の形状を変形することができる。測定場所や電線の配列などに応じて形状を自在に変化させることが可能であり、決まった形状ではないので他の障害物を避けてクランプさせることができ、狭い場所でも測定できる。
③ 開口部のフレキシブル性
各ピースの連結部分がクランプする開口部となるため、連結部すべてが開口部にできる。
④ 表示部のフレキシブル性
フレキシブルCT 本体は3メートルのケーブルで計測部につながっており、測定値を手元で読み取ることができる。現状の商品では、センサー部と表示部が一体となっているため、クランプしている箇所まで顔を近づけて測定値を読み取らなければならないこともあり、測定場所によっては危険を伴うこともあった。また、一体構造ではクランプするときにCT の支点にねじれなどの応力がかかり、故障することも多かった。表示部と漏れ電流センサー部を分離することにより、より安全に、故障も少なく測定することができる。