内容紹介
電力システム改革のコア技術を詳細解説!
本書は、電力システム、スマートグリッド分野の研究者を読者対象に、今後、電力システム改革の中心となる太陽光発電の需要予測、スマートアグリゲーション、安定供給を実現する電力需給計画や電力・配電系統制御といったコア技術を中心に“予測と制御を融合した調和型の次世代電力システムの設計手法”について、詳述した専門書です。
このような方におすすめ
電力工学(電力システム)分野の研究者
電力会社(系統運用)、小売業者(エネルギー事業者)、アグリゲータ、メーカー、需要家施設関係者(デベロッパ、設計事務所)等
目次
主要目次
1章 調和型電力システム
2章 太陽光発電予測と電力需要予測
3章 アグリゲーションと電力市場
4章 アグリゲーションとプロシューマ
5章 電力系統制御
6章 配電系統制御
7章 調和型システム設計
付録A 次世代電力系統のモデリング
付録B 制御理論に関わる基本事項
詳細目次
1章 調和型電力システム
1.1 次世代電力システムのあるべき姿と研究課題
1.1.1 将来の電力システムのあるべき姿
1.1.2 太陽光発電導入時の技術的課題
1.2 サイバー・フィジカル・バリューシステムの提案
1.2.1 Society 5.0に向けた社会システム設計
1.2.2 サイバー・フィジカル・バリューシステム
1.2.3 CPVSの縦横2重階層構造
1.3 次世代電力システム設計
1.3.1 電力システムの縦横2重階層構造
1.3.2 CPVSとしての電力システム設計へ
2章 太陽光発電予測と電力需要予測
2.1 太陽光発電予測の基礎
2.1.1 太陽光発電への変換モデル
2.1.2 気象予報モデル
2.1.3 方程式系
2.1.4 アンサンブル予測
2.2 予測区間の推定
2.2.1 予測区間の推定手法
2.2.2 予測区間の評価
2.3 予測大外れの事例
2.3.1 電力の融通と予測大外れ
2.3.2 予測大外れ事例の抽出
2.3.3 予測大外れの事例分析
2.4 予測大外れの予見手法
2.4.1 予見性能評価の要約
2.4.2 アンサンブルスプレッドが示す予測の不確実性
2.4.3 使用データと解析対象地域
2.4.4 全球アンサンブル予測と予測大外し事前検出指標
2.4.5 予測大外しと予測誤差
2.4.6 予測大外し事前検出指標と予測誤差
2.4.7 予測大外し検出力評価
2.5 超短時間時系列予測
2.5.1 超短時間時系列予測の導入
2.5.2 遅れ座標
2.5.3 無限次元の遅れ座標
2.5.4 超短時間時系列予測間の比較
2.6 電力需要予測
2.6.1 電力需要予測の基礎
2.6.2 気温応答モデルによる需要家群の電力需要予測
2.6.3 ニューラルネットワークによる需要家群の電力需要予測
2.6.4 決定木モデルによる個別需要家の電力需要予測
3章 アグリゲーションと電力市場
3.1 電力市場の基礎
3.1.1 市場ネットワーク
3.1.2 市場とマーケットデザイン
3.1.3 市場参加者のストラテジー
3.2 デマンドレスポンスを考慮したバランシンググループの需給計画
3.2.1 需給調整市場におけるバランシンググループ
3.2.2 バランシンググループの需給計画最適化問題
3.2.3 数値例
3.3 モデル予測制御を用いた当日デマンドレスポンス
3.3.1 デマンドレスポンス
3.3.2 モデル予測制御に基づくオンラインアルゴリズム
3.3.3 提案アルゴリズムの検証
3.3.4 アルゴリズムの拡張
3.4 電力プロファイル市場の設計と確率的約定方式
3.4.1 電力エネルギーシフトと電力プロファイルの取引
3.4.2 電力取引の基本
3.4.3 電力プロファイルの取引
3.4.4 確率的最適化手法の適用
3.4.5 ブラインドオークションの場合
3.5 再生可能エネルギーの不確かさを考慮した電力市場のモデリングと解析
3.5.1 凸最適化によるスポット市場の定式化
3.5.2 アグリゲータと需給コスト関数の定式化
3.5.3 数値解析結果
3.6 機械学習による需給計画
3.6.1 前日計画問題
3.6.2 機械学習による需給計画
3.6.3 機械学習による需給計画の解法
3.6.4 シミュレーションによる検証
3.7 太陽光発電出力予測更新に基づく需給計画
3.7.1 アグリゲータの需給計画
3.7.2 需給計画の作成と更新
3.7.3 シミュレーションによる検証
3.8 太陽光発電の区間予測に基づいた蓄発電需給運用計画
3.8.1 背景と目的
3.8.2 区間二次計画問題を用いた定式化
3.8.3 単調性を用いたアプローチと最適解の性質
3.8.4 数値シミュレーションによる検証
4章 アグリゲーションとプロシューマ
4.1 アグリゲーションとプロシューマのモデルの全体像
4.1.1 アグリゲータの役割
4.1.2 プロシューマの役割
4.2 エネルギー市場と需要家制御
4.2.1 システムモデルとデータセット
4.2.2 アグリゲータ潮流計画値の算出手法
4.2.3 配分計画値に対する個別需要家の当日蓄電池の運用アルゴリズム
4.2.4 数値シミュレーションによる検証
4.3 多価値最適化に向けた需要家の制御
4.3.1 計画値配分の定式化
4.3.2 シミュレーション結果による検証
4.4 階層構造に基づく電力需要制御量の最適分配法
4.4.1 電力需要制御量最適分配の必要性
4.4.2 提案法の特徴と適用対象
4.4.3 提案法の計算手順
4.4.4 提案法の数値例
4.5 デマンドレスポンスの実施診断
4.5.1 実施診断問題
4.5.2 スパース性を利用した実施診断
4.5.3 検診データを利用した実施診断アルゴリズム
4.6 充電量の秘匿制御
4.6.1 フォグコンピューティングを利用した蓄電池ネットワーク
4.6.2 蓄電池の充電率の数理モデル
4.6.3 蓄電池の充電率の秘匿制御
4.6.4 秘匿制御の数値シミュレーション
5章 電力系統制御
5.1 需給制御の基礎
5.1.1 需給制御の概要
5.1.2 将来の電力系統の需給制御
5.2 潮流制御の基礎
5.2.1 潮流計算の概要
5.2.2 電力潮流方程式
5.2.3 OPF
5.2.4 同期安定度の基礎
5.2.5 PV発電大量連系による送電系統における課題
5.2.6 次節以降の執筆内容の位置付けと概要
5.3 送電制約を考慮した経済負荷配分制御
5.3.1 最適潮流計算による経済負荷配分制御
5.3.2 提案EDCのシミュレーション
5.4 経済負荷配分制御による蓄電池充放電計画のロバスト化
5.4.1 蓄電池システムの運用計画
5.4.2 充電状態制御問題
5.4.3 設計法の概要
5.4.4 提案制御手法のシミュレーション
5.5 温度制約による混雑緩和
5.5.1 PV・風力の大量連系に伴う送電線混雑の可能性
5.5.2 送電線温度モデル
5.5.3 送電線温度制約下における最適潮流計算法
5.5.4 数値計算結果
5.6 予測を利用した負荷周波数制御
5.6.1 再生可能エネルギーと予見制御
5.6.2 予見負荷周波数制御の設計法(H2予見制御)
5.6.3 予見負荷周波数制御の設計と評価
5.7 発電機制御と需要家・供給家の需給バランス制御最適化
5.7.1 発電機制御に関する背景
5.7.2 発電機の数理モデル
5.7.3 最適周波数制御
5.7.4 提案手法の数値実験による検証
5.8 電力系統のネットワーク構造と同期安定性
5.8.1 動揺方程式を用いた電力系統モデル
5.8.2 電力系統モデルの定常状態の線形安定性解析
5.8.3 電力系統モデルの定常状態の実現
5.9 大規模電力系統の階層的不安定性診断
5.9.1 電力系統の動揺不安定性
5.9.2 電力系統の動揺方程式と不安定性
5.9.3 電力系統の階層的不安定性診断
5.9.4 階層的不安定性診断の数値的検証
5.10 電力系統のレトロフィット制御
5.10.1 レトロフィット制御の導入意義
5.10.2 レトロフィット制御器の設計法
5.10.3 数値シミュレーションによるレトロフィット制御器の有効性検証
6章 配電系統制御
6.1 配電制御の基礎
6.1.1 配電系統とは
6.1.2 太陽光発電大量連系による諸課題
6.2 電圧調整機器分散協調制御
6.2.1 高度なタップ制御による電圧制御
6.2.2 提案マルチエージェントシステム
6.2.3 多点電圧最適制御問題
6.2.4 シミュレーションによる検証
6.3 インバータ電圧協調制御
6.3.1 配電系統の電圧制御
6.3.2 連系点電圧変動抑制
6.3.3 分散協調問題
6.3.4 ミニスケールインバータによる模擬実験装置
6.3.5 電圧変動抑制模擬実験
6.4 インバータによる電力抑制
6.4.1 出力の抑制
6.4.2 出力抑制問題
6.4.3 分散協調問題
6.4.4 実験による検証
6.5 単相同期化力インバータ
6.5.1 単相同期化力インバータとは
6.5.2 同期化力インバータの動作原理
6.5.3 回路構成
6.5.4 配電系統制御への貢献
7章 調和型システム設計
7.1 調和型システム設計の基礎
7.1.1 縦横2重階層構造における縦方向の調和と横方向の調和
7.1.2 計測・予測・制御の調和
7.2 階層化システムの調和:共有モデル集合による分散設計
7.2.1 共有モデル集合とは
7.2.2 階層分散型制御系設計手法
7.2.3 電力系統の周波数制御への適用
7.3 エージェント間の協調:コミュニケーション型デマンドレスポンス
7.3.1 コミュニケーション型デマンドレスポンスとは
7.3.2 電力システム管理の最適化問題と古典的アプローチ
7.3.3 分散的アルゴリズムとコミュニケーション型デマンドレスポンス
7.3.4 データマスキングによるプライバシー保護
7.4 人と調和する制御:集合値信号を用いた階層化制御
7.4.1 人と調和する制御システム設計
7.4.2 階層制御システムの構成
7.4.3 上層制御器の一設計法
7.4.4 節電制御シミュレーションによる検証
7.5 予測と制御の調和:需給制御のための予測値整形
7.5.1 予測と制御の融合のための技術
7.5.2 発電量予測値の整形
7.5.3 対象システムに特化した予測値整形
7.6 データとモデルの調和:クリエーティブ・データサイエンス
7.6.1 クリエーティブ・データサイエンスの3重要課題
7.6.2 価値を生み出すデータの能動的獲得
7.6.3 データの補間と再構築
7.7 異種データの調和:多様性を有するデータの生成
7.7.1 出力推定手法
7.7.2 検証結果
7.7.3 PV発電出力の実績推定事例
付録A 次世代電力系統のモデリング
A.1 次世代電力系統のモデリングの全体像
A.1.1 モデルの構造
A.1.2 平衡点計算
A.2 コンポーネントごとのダイナミクスの詳細
A.2.1 同期発電機
A.2.2 無機器母線
A.2.3 負荷
A.2.4 風力発電機
A.2.5 太陽光発電
A.2.6 蓄電池システム
付録B 制御理論に関わる基本事項
B.1 動的システムの表現
B.2 システムの安定性
B.3 システムの安定化
B.4 制御システムの性能評価
B.5 制御システムの設計
B.6 離散時間システム
続きを見る