内容紹介
半導体レーザと光関連集積回路に関する最新バイブル書
Wiley発行の「Diode Lasers and Photonic Integrated Circuits(第2版)」の翻訳書。半導体レーザ(LD)は、DVD やブルーレイプレーヤの読出し素子から数百Gbpsの光ファイバ通信システムにおける中核デバイスとして革新中。本書は、第1版(1995年発行)以後に開発が進んだVCSEL(面発光レーザ)、窒化物レーザ、量子井戸などの追加と、集積機能に関する記述が大幅に強化されており、実際に設計・製作をして研究を進めた著者の記述が注目される。17項目に及ぶ付録が本文の記述を補っており、この分野の設計・作製・製造の研究開発に関わる研究者・技術者に貴重な参考書・技術書となる。
このような方におすすめ
・情報通信、半導体、金属、化学等々の材料関係企業・組織の研究・開発者
・半導体レーザ、集積回路関連研究機関の設計・作製・製造技術者
・全国各大学の上記分野学科の研究室、大学院生、学部学生、図書館
目次
主要目次
第1章 基本概念
第2章 半導体レーザの現象論
第3章 半導体レーザの反射鏡と共振器
第4章 利得と電流の関係
第5章 動特性
第6章 摂動,モード結合,モード励振,およびその応用
第7章 誘電体導波路
第8章 フォトニクス集積回路
付録1:固体物理学の基礎/付録2:Fermi エネルギー・キャリア密度と漏れとの関係/付録3:2重ヘテロ構造における光導波/付録4:光モード密度,黒体放射と自然放出係数/付録5:モード利得、モード損失および閉じ込め係数/付録6:利得と自然放出に対するEinstein の手法/付録7:周期構造と透過行列/付録8:半導体の電子状態/付録9:Fermiの黄金律/付録10:遷移行列要素/付録11:ひずみバンドギャップ/付録12:Auger過程のしきい値エネルギー/付録13:Langevin雑音/付録14:摂動公式の詳細な導出/付録15:多モード干渉/付録16:電気光学効果/付録17:有限差分問題の解法
詳細目次
目次
序文
基本定数表
第1章 基本概念
1.1 まえがき
1.2 固体のエネルギー準位とバンド
1.3 自然遷移と誘導遷移:光の発生
1.4 半導体レーザのキャリアと光子の横方向閉込め:2重ヘテロ構造
1.5 半導体レーザの材料
1.6 エピタキシャル成長技術
1.7 実際のレーザにおける電流、キャリアおよび光子の横方向閉込め
1.8 レーザの実例
平面共振器型レーザ
垂直共振器型レーザ
参考文献
推奨図書
演習問題
第2章 半導体レーザの現象論
2.1 まえがき
2.2 活性領域におけるキャリア発生と再結合
2.3 光子の自然発生とLED
2.4 レーザ共振器における光子の発生と損失
2.5 レーザのしきい値と定常状態利得
2.6 しきい値電流と出力パワー対駆動電流
2.6.1 基本的なP-I特性
2.6.2 利得モデルとそれを用いるレーザ設計
2.7 緩和共振と周波数応答
2.8 半導体レーザの特性評価
2.8.1 平面型レーザの内部パラメータ:αi,ηiおよびgとJの関係
2.8.2 VCSEL の内部パラメータ:αi,ηiおよびgとJの関係
2.8.3 電力効率と熱の流れ
2.8.4 駆動電流の温度依存性
2.8.5 微分解析
参考文献
推奨図書
演習問題
第3章 半導体レーザの反射鏡と共振器
3.1 まえがき
3.2 散乱理論
3.3 一般の素子に対するS行列とT行列
3.3.1 誘電体界面
3.3.2 不連続点のない伝送線路
3.3.3 誘電体区間とFabry-Perotエタロン
3.3.4 Masonの公式によるSパラメータの計算
3.3.5 Fabry-Perot型レーザ
3.4 3 反射鏡と4反射鏡のレーザ共振器
3.4.1 3反射鏡レーザ
3.4.2 4反射鏡レーザ
3.5 回折格子
3.5.1 まえがき
3.5.2 回折格子の透過行列理論
3.5.3 回折格子の実効反射鏡モデル
3.6 DBR 反射鏡を用いるレーザ
3.6.1 まえがき
3.6.2 しきい値利得と出力パワー
3.6.3 DBR系レーザにおけるモード選択
3.6.4 VCSELの設計
3.6.5 平面型DBRレーザと可変波長性
3.6.6 DBRレーザにおけるモード抑圧比
3.7 DFBレーザ
3.7.1 まえがき
3.7.2 しきい値利得と波長の計算
3.7.3 DFBレーザにおけるモード抑圧
参考文献
推奨図書
演習問題
第4章 利得と電流の関係
4.1 まえがき
4.2 放射遷移
4.2.1 定義と基本的関係
4.2.2 放射遷移レートの基礎
4.2.3 遷移行列要素
4.2.4 換算状態密度
4.2.5 Einsteinの誘導放出係数との関係
4.3 光利得
4.3.1 利得の一般式
低次元構造における利得
量子ドット
4.3.2 スペクトル形状の広がり
4.3.3 利得スペクトルの一般的特性
4.3.4 多体効果
4.3.5 偏光と圧電効果
4.4 自然放出
4.4.1 単一モード自然放出レート
4.4.2 全自然放出レート
4.4.3 自然放出係数
4.4.4 Purcell効果
4.5 非放射遷移
4.5.1 欠陥と不純物における再結合
4.5.2 表面と界面における再結合
4.5.3 Auger再結合レート
4.6 活性材料とその特性
4.6.1 歪み材料と不純物添加材料
4.6.2 一般的活性材料の利得スペクトル
4.6.3 利得とキャリア密度の関係
4.6.4 自然放出スペクトルと電流対キャリア密度
4.6.5 利得と電流密度の関係
4.6.6 実験で求めた利得曲線
4.6.7 井戸幅、不純物濃度、および温度への依存性
参考文献
推奨図書
演習問題
第5章 動特性
5.1 まえがき
5.2 第2章の復習
5.2.1 レート方程式
5.2.2 定常状態の解
(i) しきい値より下の場合
(ii) しきい値より上の場合
(iii) しきい値の上と下
5.2.3 定常状態の多モード解
5.3 微分レート方程式の解
5.3.1 小信号周波数応答
5.3.2 小信号過渡応答
5.3.3 小信号FM応答と周波数チャープ
5.4 大信号解析
5.4.1 大信号変調:多モードレート方程式の数値解析
5.4.2 モード同期
モード同期技術
5.4.3 立上りの遅れ
5.4.4 大信号周波数チャープ
5.5 相対強度雑音と線幅
5.5.1 RINとスペクトル密度関数の一般的定義
5.5.2 Schawlow-Townesの線幅
5.5.3 Langevinの手法
5.5.4 Langevin雑音のスペクトル密度とRIN
RINスペクトルの特性
無雑音動作
多モードレーザのRIN
5.5.5 周波数雑音
5.5.6 線幅
5.6 キャリア輸送の効果
5.7 帰還効果と注入同期
5.7.1 光帰還効果??静特性
5.7.2 注入同期??静特性
5.7.3 注入と帰還の動特性と安定性
5.7.4 レーザ線幅に対する帰還効果
参考文献
推奨図書
演習問題
第6章 摂動,モード結合,モード励振,およびその応用
6.1 まえがき
6.2 導波モードのパワーと実効幅
6.3 摂動理論
6.4 モード結合理論:2モードの結合
6.4.1 逆方向の結合:回折格子
一般論
背面反射のない有限長回折格子
6.4.2 DFBレーザ
6.4.3 同方向の結合:方向性結合器
4ポート方向性結合器
方向性結合器の応用:リング構造
6.4.4 同方向結合のフィルタと電気光学スイッチ
β1?β2
β1≠β2
6.5 モード励振
6.6 2モード干渉と多モード干渉
6.7 スター型結合器
6.8 光多重化素子、光多重分離素子、および光ルータ
6.8.1 アレイ導波路型回折格子の多重化・多重分離素子と経路選択素子
6.8.2 エシェル型回折格子による多重化素子とルータ
6.9 まとめ
参考文献
推奨図書
演習問題
第7章 誘電体導波路
7.1 まえがき
7.2 平面誘電体境界に入射する平面波
7.3 誘電体導波路の解析手法
7.3.1 定在波法
7.3.2 垂直方向の共振
カットオフと「漏れ」モード
放射モード
多層導波路
7.3.3 任意の導波路分布に対するWKB 法
7.3.4 埋込みリブ型導波路に対する2 次元実効屈折率法
7.3.5 共形写像による曲り光導波路の解析
7.3.6 任意導波路分布に対する数値モード解析手法
7.4 PIC の数値解析法
7.4.1 まえがき
7.4.2 陰解法の有限差分ビーム伝搬法
7.4.3 ビーム伝搬解法によるz 不変導波路の伝搬定数の計算
7.4.4 ビーム伝搬法による固有モード分布の計算
7.5 Goos-Hanchen効果と内部全反射部品
7.5.1 内部全反射鏡
不完全内部全反射ビーム分岐器
7.6 誘電体導波路の損失
7.6.1 誘電体導波路の吸収損失
7.6.2 誘電体導波路の散乱損失
7.6.3 導波モードの放射損失
光反導波とARROW型導波路
誘電体導波路の曲がり
参考文献
推奨図書
演習問題
第8章 フォトニクス集積回路
8.1 まえがき
8.2 広域可変波長、および外部変調レーザ
8.2.1 2区間と3区間の平面型DBRレーザ
8.2.2 広域可変波長半導体レーザ
標本化回折格子と同調範囲を拡大したその外のDBRレーザ
8.2.3 半導体レーザの可変波長範囲の拡大
Y分岐型SGDBRレーザ
2重リング型共振器の広域可変波長レーザ
回折格子結合標本化反射器レーザ
アレイ導波路型回折格子を用いる多波長レーザ
8.2.4 外部変調レーザ
電界吸収型変調器
Mach-Zehnder干渉計型変調器
8.2.5 半導体光増幅器
8.2.6 送信器アレイ
8.3 先端的PIC
8.3.1 導波路型光検波器
8.3.2 送受信器/波長変換器、および3波長結合器
8.4 コヒーレント光通信のためのPIC
8.4.1 コヒーレント光通信の概要
8.4.2 コヒーレント検波
8.4.3 コヒーレント受信器の実装
8.4.4 ベクトル送信器
参考文献
推奨図書
演習問題
付録1 固体物理学の基礎
A1.1 量子力学の基礎
A1.1.1 まえがき
A1.1.2 ポテンシャル井戸と束縛電子
A1.2 固体物理学の基礎
A1.2.1 結晶中の電子とエネルギーバンド
A1.2.2 有効質量
A1.2.3 自由電子(有効質量)理論による状態密度
参考文献
推奨図書
付録2 Fermiエネルギー・キャリア密度と漏れとの関係
A2.1 一般的関係
A2.2 バルク材料の近似
A2.3 ヘテロ障壁を超えるキャリアの漏れ
A2.4 内部量子効率
参考文献
推奨図書
付録3 2重ヘテロ構造における光導波
A3.1 まえがき
A3.2 3層スラブ形誘電体導波路
A3.2.1 対称スラブの場合
A3.2.2 一般的な非対称スラブの場合
A3.2.3 垂直方向閉じ込め係数
A3.3 2次元導波路に対する実効屈折率法
A3.4 遠方界
参考文献
推奨図書
付録4 光モード密度,黒体放射と自然放出係数
A4.1 光共振器モード
A4.2 黒体放射
A4.3 自然放出係数
推奨図書
付録5 モード利得、モード損失、および閉込め係数
A5.1 まえがき
A5.2 モード利得の古典的定義
A5.3 モード利得と閉込め係数
A5.4 内部モード損失
A5.5 能動・受動区間共振器の正確な解析
A5.5.1 軸方向の閉込め係数
A5.5.2 しきい値条件と微分効率
A5.6 モード利得に対する分散の効果
付録6 利得と自然放出に対するEinsteinの手法
A6.1 まえがき
A6.2 EinsteinのA係数とB係数
A6.3 熱平衡
A6.4 利得の計算
A6.5 自然放出レートの計算
推奨図書
付録7 周期構造と透過行列
A7.1 まえがき
A7.2 固有値と固有ベクトル
A7.3 Bragg条件を満たす誘電体積層への適用
A7.4 Bragg条件を満たさない誘電体積層への適用
A7.5 近似法との対応
A7.5.1 Fourier限界
A7.5.2 モード結合限界
A7.6 Bragg条件における一般化反射率
推奨図書
演習問題
付録8 半導体の電子状態
A8.1 まえがき
A8.2 電子状態の一般論
A8.3 Bloch関数と運動量行列要素
A8.4 量子井戸のバンド構造
A8.4.1 伝導帯
A8.4.2 価電子帯
A8.4.3 歪み量子井戸
参考文献
推奨図書
付録9 Fermiの黄金律
A9.1 まえがき
A9.2 遷移レートの半古典的導出
A9.2.1 (I)行列要素・終状態密度積が一定の場合
A9.2.2 (II)行列要素・終状態密度積がデルタ関数の場合
A9.2.3 (III)行列要素・終状態密度の積がLorentz形の場合
推奨図書
演習問題
付録10 遷移行列要素
A10.1 一般的な導出
A10.2 偏光依存効果
A10.3 量子井戸における包絡線関数の導入
推奨図書
付録11 ひずみバンドギャップ
A11.1 ひずみと応力の一般的定義
A11.2 ひずみとバンドギャップの関係
A11.3 ひずみとバンド構造の関係
参考文献
付録12 Auger過程のしきい値エネルギー
A12.1 CCCH過程
A12.2 CCCH過程とCHHL過程
付録13 Langevin雑音
A13.1 Langevin雑音源の性質
A13.1.1 相関関数とスペクトル密度
A13.1.2 Langevin雑音の相関強度の評価
A13.2 具体的なLangevin 雑音相関
A13.2.1 光子密度とキャリア密度のLangevin雑音相関
A13.2.1 光子密度と出力パワーのLangevin 雑音相関
A13.2.3 光子密度と位相のLangevin雑音相関
A13.3 雑音スペクトル密度の評価
A13.3.1 光子雑音のスペクトル密度
A13.3.2 出力パワー雑音のスペクトル密度
A13.3.3 キャリア雑音のスペクトル密度
参考文献
演習問題
付録14 摂動公式の詳細な導出
推奨図書
付録15 多モード干渉
A15.1 多モード干渉による結合器
A15.2 導波モード伝搬の解析
A15.2.1 一般的な干渉
A15.2.2 限定された多モード干渉
A15.3 物理的性質
A15.3.1 一般的な干渉
A15.3.2 結像特性
A15.3.3 固有の損失と光帯域幅
A15.3.4 偏光依存性
A15.3.5 反射特性
参考文献
付録16 電気光学効果
参考文献
推奨図書
付録17 有限差分問題の解法
A17.1 行列による定式化
A17.2 1次元誘電体スラブの例
推奨図書
略語
記号
索引
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