内容紹介
通信技術者必読! 生命に学ぶ通信システム構築の新しいかたち
情報通信技術は、その進歩の過程で、生物の生命機能(主に神経による情報伝達)との類似点が見いだされ注目を集めています。現在、生命機能をより深く理解し、情報通信技術のさらなる研究開発に役立てようとする動きが世界中で盛んになっています。本書では、情報通信研究機構 神戸研究所 未来ICTセンターを中心とした最新の研究成果を、通信技術者向けに解説します。
このような方におすすめ
高度な情報通信技術者(ハード/ソフトを問わない)。主に、NGNなどインフラ系の技術者、コンピュータ内通信技術者、MPU設計者/バス設計者、研究者など。
目次
主要目次
第1章 生命から情報通信(ICT)を捉えなおす
(執筆:澤井 秀文)
第2章 分子通信技術の研究動向 ~バイオICTとしての分子通信~
(執筆:中野 賢 マイケル・ムーア 榎本 章宏 須田 達也)
第3章 人工化学と分子ネットワーク
(執筆:鈴木 秀明)
第4章 生物系におけるシグナル伝達とその計算・通信システムへの潜在的な応用
(執筆:劉 健勤 ペパー・フェルディナンド)
第5章 より深い理解のために
(執筆:澤井 秀文)
詳細目次
はしがき
第1章 生命から情報通信(ICT)を捉えなおす
1.1 生命とICT のつながり
1.1.1 至近要因と究極要因
1.1.2 自然界の階層性
1.2 脳機能からのヒント
1.2.1 脳の構造と機能
1.2.2 脳機能をモデル化した神経回路網
1.2.3 時系列処理に適した時間遅れ神経回路網とその拡張
1.2.4 時間遅れ神経回路網を回転不変なパターン認識へ拡張する
1.3 進化論と情報処理モデル
1.3.1 不均衡進化論に基づく情報処理モデル:パラメータフリー遺伝的アルゴリズム
1.3.2 パラメータフリー遺伝的アルゴリズムの並列分散処理への拡張
1.3.3 遺伝子重複に基づく情報処理モデル
1.3.4 性選択に基づく情報処理モデル
1.4 細胞の初期進化に基づく情報処理
1.4.1 化学的遺伝アルゴリズム
1.4.2 化学的遺伝プログラミング
第2章 分子通信技術の研究動向 ~バイオICTとしての分子通信~
2.1 はじめに
2.2. 細胞生物系における分子通信
2.2.1 受動輸送型分子通信
2.2.2 能動輸送型分子通信
2.3 分子通信のアーキテクチャ
2.3.1 分子通信の一般表現
2.3.2 通信プロセス
2.3.3 分子通信の特性
2.4 分子通信システムの開発
2.4.1 送受信ナノマシンの開発
2.5 輸送機構の開発
2.5.1 受動輸送機構
2.5.2 能動輸送機構
2.5.3 その他通信機構の開発
第3章 人工化学と分子ネットワーク
3.1 はじめに
3.2 人工化学
3.2.1 人工化学の設計の基本要素
3.2.2 人工化学システムデザインの要件-進化と創発の観点から
3.3 分子間相互作用の位相特性
3.3.1 分子間力と化学反応速度論
3.3.2 分子の移動に関する位相的条件
3.3.3 分子間距離と分子ネットワーク
3.3.4 分子ネットワークの位相特性
3.4 人工化学システムの評価
3.5 ネットワーク人工化学
3.5.1 基本的考え
3.5.2 能動機械としてのコントロールフロークラスタ
3.5.3 エネルギー最小化に基づく受動的繋ぎ変え規則
3.5.4 アクティブノードプログラムによるネットワーク構造の組織化
3.6 改良ネットワーク人工化学
3.6.1 考え方
3.6.2 分子エージェントによる親水性クラスタの形成と分裂
3.7 今後の展望
第4章 生物系におけるシグナル伝達とその計算・通信システムへの潜在的な応用
4.1 はじめに
4.2 細胞シグナル伝達ネットワークとその形式モデル
4.2.1 シグナル伝達の生化学に関する予備知識
4.2.2 シグナル伝達のグラフ表現
4.2.3 パスウェイの例としてのMAPKカスケード
4.3 シグナル伝達ネットワークの動態分析
4.3.1 シグナル伝達ネットワークの時間的動態
4.3.2 フィードバックを備えたパスウェイの固定点
4.3.3 頑健性について
4.4 細胞シグナリング・パスウェイに対する誤り訂正符号
4.4.1 分子通信から導かれる分子符号化
4.4.2 パスウェイに対するLDPC 符号化
第5章 より深い理解のために
5.1 科学技術革命におけるパラダイム転換
5.1.1 現在も生きるダーウィンの進化論
5.1.2 生命38 億年の流れ
5.2 複雑系ネットワークによる現実世界の問題への解決法
5.2.1 複雑系ネットワークとは?
5.2.2 複雑系ネットワークの応用分野
5.2.3 社会ネットワーク関連分野の動向
おわりに
謝辞
参考文献
索引
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