内容紹介
事例に学んで「現場の事故・トラブル」を回避する
アスベストの人体被害など、各種製造物・生産物に関する事故は、後を絶ちません。本書は、技術者が実際に直面する多くの「リスク(事故・トラブル)」について、その重要性を認識、評価し、再発防止を図る技術を学ぶことを目的としています。「社会に役立つ安全な製品を作る」という「もの作り」時代の技術者の使命への指針となる書籍です。
このような方におすすめ
・製造業における経営者、技術者、製造物責任事故に関与する企業法務担当者、損害保険会社担当者
・リスク工学、リスクマネジメント、技術者倫理等の科目を有する、高等専門学校、大学、大学院
・技術士(総合技術監理部門)受験者
目次
主要目次
第1章 リスク工学の重要性
第2章 リスク管理と危機管理
第3章 リスク調査・評価の技術
第4章 リスク回避の活動と技術
第5章 事故事例と分析、再発防止策
第6章 安全な生活のために
詳細目次
はしがき
第1章 リスク工学の重要性
1-1リスクはいつでも、どこにも存在する
1-2リスクとは何か?
1-3リスクはゼロにはできない
1-4リスクの低減は技術者の使命
1-5リスクの調査は非常に難しい
1-6リスク工学の学び方
・参考文献
第2章リスク管理と危機管理
2-1リスクの考え方
2-2 リスク・アセスメント
2-2-1リスク対応方針とリスク特定
2-2-2 リスク・アセスメントの方法
2-2-3 リスク対策
2-2-4 リスクコミュニケーション
2-2-5 社会的受容とリスク認知
2-3 危機管理活動と危機管理マニュアル
2-3-1 危機管理
2-3-2 危機管理活動のステップ
2-3-3 危機管理活動の基本要素
2-3-4 危機管理マニュアル
2-3-5 システム安全工学手法
2-4労働安全衛生管理
2-4-1考え方の基本
2-4-2 労働安全衛生法と安全管理
2-4-3 労働安全衛生管理システム
2-4-4 労働災害と災害統計
2-4-5 職業病とメンタル・ヘルス
2-4-6 労働安全衛生と社会安全衛生
2-5リスクと技術者倫理
・参考文献
第3章 リスク調査・評価の技術
3-1火災事故と消火
3-1-1火災の定義
3-1-2燃焼と消火法
(1)燃焼の定義
(2)燃焼条件
(3)消火法
3-2機械事故とその防止
3-2-1機械設備と事故
(1)機械事故による労働災害
(2)機械設備の分類
(3)危険源からの隔離によるリスク回避(事故防止)
(4)機械設備における各種のリスク
3-2-2機械設備におけるリスク回避技術
(1)リスク回避の条件
(2)全般的なガード
(3)機械の作動部分のガードと安全装置
3-2-3おもな機械におけるリスク回避
(1)往復動機械
(2)回転機械および荷役作業
(3)自動化機械
3-3電気事故調査技術
3-3-1 電気事故とその原因
(1)電熱・照明器具の過熱
(2)配線の短絡
(3)配線および配線器具類の過熱
(4)電気機器の過熱
(5)漏電
(6)静電気
3-3-2 電気火災の調査
(1)溶痕
(2)通電状態の判別
(3)グラファイト化による通電
(4)燃焼状態の判別
(5)漏電と接触不良
3-4建造物事故とその防止
3-4-1建造物の破壊
3-4-2コンクリート建造物の劣化
(1)塩害劣化
(2)アルカリ骨材反応
(3)劣化の検知と診断
3-5化学事故とその防止
3-5-1爆発、火災およびガス中毒事故
(1)特徴と発生態様
(2)危険物
(3)火災
(4)爆発
(5)粉塵爆発
(6)ガス中毒
3-5-2環境問題と化学事故防止対策
(1)PRTR法
(2)リスクコミュニケーションによるPRTR法の実践
(3)レスポンシブル・ケア
(4)化学物質の環境リスクの認識と説明
3-6事故原因となる材料調査技術
3-6-1金属の破壊
(1)疲労破壊が大半
(2)破壊事故の分類
(3)破壊の種類
(4)部材への力の加わり方の分類
(5)材料事故の調査方法
(6)破壊原因調査の要点
(7)破面観察
3-6-2金属の腐食
(1)腐食の基礎
(2)水溶液腐食の電気化学機構
(3)全面腐食と局部腐食
(4)実際の腐食形態
(5)不働態化と防食の基礎
(6)各種実用金属材料の耐食性
(7)電子部品の腐食
3-6-3高分子材料の劣化と寿命
(1) 高分子材料は劣化しやすい
(2)熱酸化劣化
(3)無酸素劣化
(4)光劣化
(5)オゾン劣化
(6)疲労劣化
(7)微生物劣化
(8)溶剤による劣化
(9)寿命
3-6-4余寿命予測技術
(1) 余寿命予測とは?
(2)火力発電設備の強度・寿命評価技術
(3)ボイラの設備診断、余寿命評価
3-6-5材料評価に用いる各種機器分析
(1) 可視・紫外(VIS・UV)吸収分光分析
(2) 赤外線(IR)分光分析
(3) 核磁気共鳴(NMR)スペクトル分析
(4) 質量分析(MS)
(5) 熱分析
(6) 分離分析
(7) 表面分析
・参考文献
第4章リスク回避の活動と技術
4-1リスク回避の日常活動
4-1-1 未然防止活動・技術
4-1-2 定期点検活動
4-1-3 小集団活動
4-1-4 ヒヤリハット活動
4-1-5 HACCP活動
4-1-6 法規制と自主規制
4-2 生産活動におけるリスク回避
4-2-1 強度設計の基礎知識
4-2-2 設計における安全率(安全係数)
4-2-3 リスク回避設計の考え方
4-2-4 安全設計原則(フェイルセイフ)
4-2-5 システムの高信頼化
4-2-6 安全確認システム(インターロック)
4-2-7 インターロックに必要な各種センシング技術
(1)インターロックシステムにおけるセンサの役割
(2)センサの活用例
(3)インターロックの問題点
4-3 ヒューマン・エラーによるリスク
4-3-1 エラーの種類
4-3-2 エラー防止対策の種類
4-3-3 エラーの種類とそれに有効な対策の種類
・参考文献
第5章 事故事例と分析、再発防止策
5-1花火大会歩道橋上で群集雪崩事故
5-2山陽新幹線トンネル壁落下事故
5-3核燃料ウラン転換工場JCO臨界事故
5-4 K油症事件-食用油へのPCBの混入-
5-5 Y乳業食中毒事件-低脂肪乳等による黄色ブドウ球菌食中毒-
5-6歌舞伎町ビル火災-一酸化炭素ガスの怖さ-
5-7スペースシャトルコロンビア号事故
5-8原子力発電所2次配管破損による高温蒸気噴出事故
5-9 ごみ固形燃料(RDF)発電所における爆発事故について
5-10朱鷺メッセ連絡橋デッキの崩落事故
5-11パリ(シャルル・ドゴール)空港ターミナルロビー屋根の一部崩落事故
5-12石綿(アスベスト)の人体被害に関して
・参考文献
第6章 安全な生活のために
6-1文化の違いと「リスク」の概念
6-2組織におけるリスク管理
6-3職場における労働安全衛生管理
6-4社会の安全衛生管理
6-5販売・提供する製品・サービスのリスク管理(製造物責任)
6-6事故・災害対策(危機管理)
6-7リスク誤認
6-8リスクの転嫁
6-9リスク低減コスト
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