内容紹介
今度は京大!深くて魅力的な数学の森へようこそ
好評書籍「語りかける東大数学 ―奥深き理工学への招待―」の姉妹書です。
京都大学の入試数学は、東京大学に比べて、より数学の本質をついたものが多く、また一見とっつきにくい(問題の意図がわかっていても答案にしにくい)印象の問題が見受けられます。また、過去には「この条件を満たす整数nを求め、これを自身(=受験生のこと)の得点とする。」といった大胆な出題もあり、これも特徴の一つといえます。
本書は、「語りかける東大数学」に続き、入試問題解説にとどまらない、問題の裏側に光を当てる記述のスタンスはそのままに、京大入試数学の出題に色濃い、大学入学以降の純粋数学とのリンクとなる内容を前記の想定読者に向けて解説しています。京大入試の数学の過去60余年の問題からこのような観点で問題をピックアップして、新進気鋭の著者陣(東大卒、京大卒のタッグ)が記述を通して議論を交わしながら、個々の問題の解法のみならず、その出題の数学的な背景や出題者の意図を推理していくような構成となっています。
このような方におすすめ
・理文問わず、数学の難問に関心のある中高年の方
・大学以降で扱う学問に関心のある、理系志望の中学生・高校生
目次
主要目次
第0章 はじめに
第1章 三次元ベクトルを使いこなす
第2章 拘束条件下での極値決定
第3章 “流れ” を調べる変換
第4章 座標変換と求積
第5章 グラフの形と大小評価
第6章 オーダー評価
第7章 テイラー展開
第8章 確率と母関数
第9章 微分方程式
第10章 点の運動と面積計算
第11章 無理数の性質
第12章 奥深き合同式の世界
第13章 多項式の世界
第14章 体論
第15章 p進数の世界
詳細目次
第0章 はじめに
0.1 表記に関する注意事項
0.2 行列に関する基礎知識
0.3 微分積分に関する基礎知識
第1章 三次元ベクトルを使いこなす
1.1 空間内の“ナナメ” の円周
1.2 内積の復習
1.3 正射影ベクトルを自由自在に使いこなす
1.4 こんどは外積!
第2章 拘束条件下での極値決定
2.1 2変数関数の値域はどう調べる?
2.2 多変数関数の微分入門
2.3 ラグランジュの未定乗数法
2.4 未定乗数法の応用例:懸垂曲線
第3章 “流れ” を調べる変換
3.1 一見ただの複素数の問題だが……
3.2 等角写像
3.3 ジューコフスキー変換
3.4 ジューコフスキー変換で“流れ” を求める
3.5 そのほかの応用例:二つの曲線がなす角
第4章 座標変換と求積
4.1 斜交座標での面積計算
4.2 ヤコビアンとは
4.3 ヤコビアンの応用例
第5章 グラフの形と大小評価
5.1 知識の有無で難度が変わる、不等式の証明問題
5.2 関数のグラフと2階導関数の関係
5.3 凸関数と凸不等式の一般論
5.4 凸不等式の知識を用いると……
5.5 もっと活用してみよう:sinの積の最大値は?
5.6 凸不等式から派生するさまざまな不等式
5.7 もう一つの応用例:エントロピー
第6章 オーダー評価
6.1 大雑把に見積もる
6.2 特定の関数形での評価にチャレンジ!
6.3 スターリングの公式
6.4 オーダー評価のそのほかの例:計算量
6.5 誤差を評価する
第7章 テイラー展開
7.1 数学Ⅲの知識をフル活用する問題に挑戦!
7.2 背景にあるのは“テイラー展開”
7.3 テイラー展開と関連づけられる問題
7.4 物理におけるテイラー展開
第8章 確率と母関数
8.1 線型代数で確率の問題を攻略する
8.2 母関数を活用して確率の問題を解く
8.3 京大入試における,母関数の様々な応用例
8.4 数え上げの問題における母関数の活用例
第9章 微分方程式
9.1 入試問題で微分方程式が登場!
9.2 こんどは京大の微分方程式の問題に挑戦
9.3 流出速度が水深の平方根に比例するという仮定の根拠
9.4 ガソリンの使い方を最適化する
第10章 点の運動と面積計算
10.1 曲線により囲まれた図形の面積
10.2 座標平面上の三角形の面積公式をあらためて
10.3 三角形の面積公式の応用(ガウス・グリーンの定理)
10.4 ガウス・グリーンの定理を用いて攻略
第11章 無理数の性質
11.1 無理数の定義
11.2 “いつか戻ってくる”条件は?
11.3 稠密性に関連した難問に挑戦!
11.4 無理数の稠密性
11.5 数学の森 in Kyoto
第12章 奥深き合同式の世界
12.1 合同式の定義と基本性質
12.2 合同式と素数に関するとある定理
12.3 フェルマーの小定理の主張と証明
12.4 素数と合同式に関するもう一つの定理
12.5 群の理論と、フェルマーの小定理・ウィルソンの定理
第13章 多項式の世界
13.1 多項式の合同式を活用してみよう
13.2 もう一つの類題
13.3 多項式の剰余環、複素数の構成
13.4 多項式環の因数分解の一意性
第14章 体論
14.1 無理数の線型独立性と多項式
14.2 体の理論
14.3 最小多項式の「最小」
14.4 アイゼンシュタイン多項式
14.5 最小多項式を用いた有理化の方法
14.6 円分体
第15章 p進数の世界
15.1 素因数に関する様々な問題
15.2 p進法に関する重要定理
15.3 p進絶対値とその性質
15.4 p進数
15.5 ヘンゼルの補題を用いてラスボスを倒す
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