内容紹介
ふわふわな感性データをマーケティングに役立てよう!
「もっとさらっとした手触りのものがほしい」
「もふもふでかわいい」
「こってりしたものが食べたい」
「ほわんとした音が心地いい」
日常的な会話のなかで、こういった表現を使用していませんか?
この「もふもふ」や「ほわん」が「オノマトペ」です。擬音語や擬態語とも呼ばれ、音や状態を形容する表現の1つです。
商品を使用するユーザーは、友人との会話はもちろん、店頭での相談やアンケートの自由記述欄などで、直感的にオノマトペを使っています。しかし、オノマトペのような定性的なデータは、統計的な分析によってマーケティングに役立てることが難しいとされてきました。オノマトペは顧客の素直な声そのものですが、なかなか役立てられていないのが現状です。
現在の市場調査では、統計分析を前提として「硬い-柔らかい」「温かい-冷たい」などの形容詞ごとに、5~10段階程度の選択肢のうち、どの段階が当てはまるかで答えてもらうアンケート(SD法)がよく使われています。
馴染みのある調査形式ですが、私たちは「このタオル、柔らかさは2で温かさは3くらいだね」と判断して生活しているわけではありません。日常的には、「このタオル、ふわふわだね」など、オノマトペで直感的に対象を表現しています。このオノマトペを分析できれば、より深く顧客のニーズを探ることができるはずです。
本書では、オノマトペを定量的に分析し、ビジネスに役立てるしくみを紹介します。
具体的には、オノマトペを数値に変化するしくみの紹介からはじまり、それをもとにした市場調査、ポジショニングマップによる可視化、商品開発、ネーミングやキャッチコピーの生成、パッケージデザインのキーカラー選定などを、実例を交えて紹介していきます。
◎こんな方におすすめ
本書の内容はマーケティングの全工程に関わるので、以下のような方々におすすめです。
・市場調査や販売戦略などに携わる、企業のマーケター
・商品の開発や改良に携わる、企業の製造担当者
・商品の企画、広報、販促などに携わる、企業の担当者
消費者の直感的な評価をそのままマーケティングに活かせれば、より需要の高い商品を生み出すことができます。オノマトペを使った新しいマーケティングの形を、ぜひ覗いてみてください。
このような方におすすめ
◎ 市場調査や販促などを担当するマーケター
◎ 企業(メーカー)の企画・広報・開発の担当者
○ デザイナー、コピーライターなどのクリエイター
目次
主要目次
Chapter 1 オノマトペ×マーケティングが秘める可能性
Chapter 2 オノマトペで市場調査してみよう
Chapter 3 オノマトペでニーズを可視化してみよう
Chapter 4 オノマトペで感じかたの個人差を捉えよう
Chapter 5 オノマトペで商品開発してみよう
Chapter 6 オノマトペで販売促進してみよう
詳細目次
扉/はじめに/目次
Chapter 1 オノマトペ×マーケティングが秘める可能性
1.1 あなたもちょくちょく使っている「オノマトペ」
1 「オノマトペ」の名はどこからきた?
1.2 バシッと効く広告表現を追求するために
1 [実験] おいしさに関連するオノマトペ表現の傾向調査
2 音韻からみる「おいしい」と「おいしくない」
①炭酸は「しゅわしゅわ」で「じゅわーっ」
②コーヒーは「ふわーっ」とおいしさが広がる
③チョコレートは「さくさく」で「ぱきっ」
3 数値化から生まれるビジネスの可能性
1.3 オノマトペでマーケティングをすっぽりカバー
1 そもそもマーケティングとは?
2 マーケティングで行われる調査と従来的な収集方法
3 オノマトペ・マーケティングが秘める可能性
①より生に近い声を収集できる
②ビッグデータの分析に役立つ
③分析したデータを可視化できる
④顧客一人ひとりの「感じかたの違い」に対応できる
⑤商品開発や広告コミュニケーションにも活用できる
Chapter 2 オノマトペで市場調査してみよう
2.1 コツコツ地道に? いままでの市場調査
1 データ収集で行われる3つの調査
①個人調査
②会場調査と観察調査
2 質問票で用いられるSD法とは?
【手順1】評価項目の選択
【手順2】評価項目の提示順序の決定
【手順3】尺度の段階と度合を表す副詞の決定
【手順4】線分とメモリに対する工夫
【手順5】調査対象者の選抜
【手順6】実験の実施
【手順7】回答データの分析
3 SD法による市場調査のデメリット
①回答に必要な時間が長い
②評価項目の選択が難しい
③尺度の段階と度合を表す副詞の決定
④評価項目の提示順序に配慮が必要
⑤適用できる調査対象者が限られる
⑥回答がばらつく
⑦そもそも主観は分析できない
2.2 すいすいできる! オノマトペで市場調査
1 マーケティングにおけるオノマトペの需要
2 オノマトペの印象を数値化するシステム
【手順1】オノマトペを準備する
【手順2】オノマトペの印象を評価する
【手順3】音と印象を定量化し、意味を推定する
3 オノマトペによる一言アンケート
4 オノマトペによる市場調査のメリット
①回答に必要な時間が短い
②あらかじめ評価項目を選択しなくていい
③顧客・消費者への評価項目の提示が必要ない
④顧客・消費者に自由に回答してもらえる
⑤誰でも簡単に調査に参加できる
⑥専門家並みの評価ができる
⑦回答する側にも分析する側にも負担が少ない
Chapter 3 オノマトペでニーズを可視化してみよう
3.1 数値化とマッピングでパッとわかること
3.2 質感オノマトペマップのつくりかた
1 素材マップの作成
2 オノマトペマップの作成
3 素材マップとオノマトペマップの重ね合わせ
3.3 「ほっこり」する木ってどんな木ですか?
1 木とはなんだろう?
2 住宅建材としての木
3木の質感とオノマトペ
3.4 「ぬめぬめ」する紙を想像できますか?
1 紙というメディアの現在
2 紙とはなんだろう?
3 紙の質感とオノマトペ
3.5 「BORO」は世界に通じるオノマトペ
1 画像のみで質感を把握することの難しさ
2 オノマトペによる布製品のセールス
3 布とはなんだろう?
4 NUNO NUNO BOOKS
5 布の質感とオノマトペ
3.6 「ぴちぴち」ワインや日本酒をテイスティングしたい!
1 ワインとはなんだろう?
2 日本酒とはなんだろう?
3 お酒の味とオノマトペ
3.7 「つるつる」「さらさら」……なりたい髪になりたい!
1 ヘアケア商品の広告と口コミの表現
2 髪の質感とオノマトペ
コラム:オノマトペにみられる性差?
3.8 クラリネットはやっぱり「パオパオ」?
1 音の響きとオノマトペ
2 楽器の音とオノマトペ
3.9 「さらしと」漆に和を感じます
1 漆とはなんだろう?
2 漆の質感とオノマトペ
Chapter 4 オノマトペで感じかたの個人差を捉えよう
4.1 みんなバラバラ? マーケティングで理解すべき「個人差」
1 インターネット調査でモニターから回答を得る
2 ユーザの行動履歴から好みを推定する
3 「多から個への推定」と「個から多への推定」
4.2 しっとり? べたべた? 個人差可視化システム
【手順1】素材マップの作成
【手順2】オノマトペマップの作成
【手順3】少ないデータから個人の知覚空間を推定する方法
4.3 しっとりした使用感の化粧品は?
1 個人差可視化システムによる個々に寄り添った接客
【手順1】お客様の希望を入力する
【手順2】お客様の感じかたをオノマトペで表現する
【手順3】お客様の感性に適した商品の提案
4.4 一人ひとりにぴったり寄り添う、AI時代のマーケティング
Chapter 5 オノマトペで商品開発してみよう
5.1 オノマトペでさくさく開発指標や改善点を見つけよう!
1 飲みものの味とテクスチャーをコントロールしたい
① おいしさは音に表れる?
② 味とテクスチャーの指標をつくろう
③ 最初の音と味の関係
④ オノマトペ印象評価システムによる分析
2 オノマトペで新しいパンのレシピを作ろう
① パンはテクスチャーによっておいしさが変わる?
② 分量推薦システムを構築しよう
③ 具材推薦システムを構築しよう
3 複雑なデバイスの操作感を把握したい
① ユーザーの快・不快を測定したい
② さまざまなデバイスを用いた実験
③ 操作感と音の関係
4 プラスチックを実金属に近づけたい
① そもそも質感とはなんだろう?
② 実金属と模造金属をオノマトペで評価しよう
5.2 もっともふもふにしたらどうなる? 質感シミュレーションによる開発支援
5.3 どんどん蓄積しよう! 質感データベースによる素材選定支援
1 データ収集の難しさと重要性
2 モノと感覚と言葉をつなぐ、質感データベース
3 日本の立ち位置と可能性
Chapter 6 オノマトペで販売促進してみよう
6.1 新商品にピッタリな名前を付けるには?
1 音と印象のふしぎな関係
2 商品カテゴリで変わる音と印象の結びつきかた
3 商品名の印象を評価するシステム
6.2 ズバッと刺さるキャッチコピーを自動生成しよう
1 どんどん普及するAIによるキャッチコピー自動生成
2 新しいオノマトペを生成するシステム
6.3 わくわくする色でパッケージデザインを作りたい
1. パッケージデザインとマーケティング
2. 色と感情の関係は?
3. 伝えたい印象に合った色を提案するシステム
4. 前向きになれるパッケージデザインを作ろう
6.4 さらふわな商品だけ検索したい!
1 ECサイトの普及と商品検索における課題
2 オノマトペでの検索に対する商品推薦システム
おわりに
索引
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