内容紹介
配電ネットワークシステムを体系的に解説
電力システム改革や再生可能エネルギーの主力電源化等の環境変化の中で、一般送配電事業者は変革の時期にあります。再エネルギーを始めとした分散型電源の多くは配電系統へ連系されており、配電系統への関心はこれまでになく高まっています。本書では、配電系統の基礎を網羅しつつ、今後の電力システム改革で必要となるであろう技術動向を見据えて、重要と考えられる事項も丁寧に解説しています。配電を含むネットワークシステムを体系的に取り扱うこれまでにない1冊です。
このような方におすすめ
・電気・電力分野の技術者(新人)
・電気工学を学ぶ学生
目次
主要目次
序章 配電系統に求められる社会的要請と配電ネットワークシステム工学
第1章 電力ネットワークシステムの構成
第2章 配電ネットワークシステムに関する計算の基礎
第3章 配電ネットワークシステムの計画・保安・運用
第4章 配電ネットワークシステムにおける分散型電源との協調
第5章 配電ネットワークシステムにおける将来の技術動向
詳細目次
序章 配電系統に求められる社会的要請と配電ネットワークシステム工学
第1章 電力ネットワークシステムの構成
1.1 電力系統の構成、電圧、周波数
1.1.1 電力系統の構成
1.1.2 電力系統の電圧
1.1.3 電力系統の周波数
1.1.4 送電方式
1.2 配電系統の構成
1.3 高圧(特高)配電系統の構成
1.3.1 6.6kV系統構成
1.3.2 樹枝状方式の系統構成
1.3.3 特別高圧の系統構成
1.4 低圧配電系統の構成
1.4.1 低圧系統の送電方式とそれぞれの特徴
1.4.2 低圧系統の系統形式
1.4.3 400V配電
1.5 供給信頼度(電圧の安定、継続性)
1.5.1 供給信頼度とは
1.5.2 供給信頼度の評価指標(SAIDI、SAIFI)
1.5.3 供給信頼度を高めるための対策
1.6 中性点接地の目的と種類
1.6.1 中性点接地の目的
1.6.2 中性点接地方式
1.6.3 中性点の有効接地
1.7 異常電圧
1.7.1 配電系統に生じる異常電圧の種類
1.7.2 配電機器に求められる必要耐電圧・試験電圧
1.8 電力系統の絶縁設計
1.8.1 絶縁協調とは
1.8.2 配電系統における絶縁協調の考え方
1.9 高調波
1.9.1 高調波の発生メカニズム
1.9.2 高調波電圧の実態
1.9.3 高調波の対策
1.10 不平衡
1.10.1 電圧不平衡現象とは
1.10.2 不平衡に関する法令と省令
1.10.3 電圧不平衡に対する対策
1.10.4 電圧不平衡に関する公的基準
1.11 フリッカ
1.11.1 フリッカの具体的な事例
1.11.2 フリッカの評価指標
1.11.3 IECフリッカメータ
1.12 瞬時電圧低下
1.12.1 瞬時電圧低下現象とは
1.12.2 瞬時電圧低下に関する基準と需要家の対策
第2章 配電ネットワークシステムに関する計算の基礎
2.1 線路定数
2.1.1 電力系統の構成
2.1.2 インダクタンス(Inductance)
2.1.3 キャパシタンス(Capacitance)
2.2 電圧の計算
2.2.1 電圧とは
2.2.2 電圧ベクトル計算
2.2.3 4端子定数
2.2.4 潮流計算
2.3 送電特性と電線路モデル
2.4 電圧降下
2.4.1 単一負荷の電圧降下
2.4.2 多数負荷の電圧降下
2.4.3 分散負荷とループ式線路の電圧降下
2.5 不平衡の計算
2.5.1 対称座標法
2.5.2 不平衡三相回路
2.6 故障計算
2.6.1 配電線事故の種類
2.6.2 配電線の故障
2.6.3 故障計算のための回路表現
2.7 対称座標法を用いた故障計算
2.8 短絡容量と低減対策
2.8.1 短絡容量
2.8.2 短絡容量低減対策
2.9 電力損失計算と低減対策
2.9.1 配電系統における損失の概要
2.9.2 高低圧配電線における損失
2.9.3 変圧器における損失
2.9.4 損失係数
2.9.5 電力損失の低減策
第3章 配電ネットワークシステムの計画・保安・運用
3.1 電圧管理・制御
3.1.1 運用における電圧変動の許容範囲と目標値
3.1.2 供給電圧の維持・調整
3.2 電力系統の運用
3.2.1 配電用変電所の構成
3.2.2 系統構成に対する基本的な考え方
3.2.3 配電線の稼働率と裕度
3.3 配電自動化システム
3.3.1 配電自動化システムの導入目的
3.3.2 配電自動化システムの導入効果
3.3.3 配電自動化システムの構成
3.3.4 配電自動化システムの機能
3.4 伝送方式
3.4.1 伝送方式の選定
3.4.2 配電線による伝送方式(配電線搬送方式)
3.4.3 通信線による伝送方式(通信線搬送方式)
3.4.4 無線方式
3.4.5 時限順送方式の概要
3.5 次世代配電自動化システムの構想
3.6 設備計画
3.6.1 設備計画の考え方
3.6.2 設備拡充・改良対策の考え方
3.6.3 分散型電源が拡大する中での設備形成(逆潮流への対応)
3.6.4 設備状態の定量評価とアセットマネジメント
3.7 需要想定
3.7.1 需要想定方式(マクロとミクロ)
3.7.2 負荷カーブ・最大電力の想定
3.7.3 地域特性の把握(需要と設備の相関、設備・系統評価)
3.7.4 設備管理指標(需要指標)
3.8 配電系統の電圧降下・電力損失
3.8.1 電圧降下
3.8.2 均等間隔平等分布負荷
3.8.3 平等分布負荷
3.8.4 分散負荷率
3.8.5 電力損失
3.9 架空配電線
3.9.1 架空配電線の機材と建設
3.9.2 設計の概要・考え方(建柱位置、環境調和)
3.9.3 新たな建設方法の開発やコストダウン
3.9.4 配電線の保守・保全
3.10 地中配電線
3.10.1 配電機材の概要
3.10.2 コストダウンや信頼度向上のための取り組み
3.10.3 電線・ケーブルの許容電流
3.10.4 建設関連の地中配電線
3.11 屋内配線系統の構成と回路保護
3.11.1 屋内配線の電気方式
3.11.2 屋内配線系統の構成
3.11.3 回路の保護
3.12 屋内幹線と分岐回路の設計
3.12.1 屋内幹線の設計
3.12.2 分岐回路の設計
3.13 屋内配線の工事方法
3.13.1 施設場所と工事の種類
3.13.2 特殊場所の工事
3.14 高圧受電設備
3.14.1 高圧受電設備の定義
3.14.2 高圧受電設備の設備方式
3.14.3 受電設備方式
3.14.4 高圧受電設備を構成する主な機器
3.14.5 計器用変圧器・変流器
3.14.6 継電器
3.15 電気機器
3.15.1 直流機
3.15.2 同期機
3.15.3 誘導機
3.15.4 半導体電力変換回路で連系された各種電気機器
3.16 パワーエレクトロニクスの応用
3.17 保護継電方式の概要
3.18 配電線事故
3.18.1 配電線事故の分類
3.18.2 配電線事故の原因
3.19 柱上変圧器の保護
3.19.1 柱上変圧器の概要と保護
3.19.2 変圧器短絡事故に対する保護方法
3.19.3 変圧器地絡事故に対する保護方法
3.19.4 変圧器の過負荷保護
3.19.5 雷サージによる保護
3.19.6 発錆(塩害)による保護
3.20 雷害対策
3.20.1 落雷の発生メカニズム
3.20.2 配電設備への雷撃
3.21 塩害対策
3.21.1 塩害による配電設備への影響
3.21.2 がいしの耐汚損設計の一般的な考え方
3.22 雪害対策
3.22.1 着雪発生機構
3.22.2 難着雪対策
3.23 高圧受電設備の保護
第4章 配電ネットワークシステムにおける分散型電源との協調
4.1 分散型電源の設備と種類
4.1.1 分散型電源とは
4.1.2 エンジン発電機・タービン発電機
4.1.3 太陽光発電の構成
4.1.4 風力発電の構成
4.1.5 燃料電池の構成
4.1.6 分散型電源用系統連系インバータ
4.2 系統連系と系統連系要件
4.2.1 系統連系とは
4.2.2 系統連系要件と連系の区分
4.3 保護・保安対策
4.3.1 保護協調
4.3.2 配電系統の事故の種類と保護協調
4.3.3 高低圧混触事故対策
4.3.4 単独運転防止対策
4.3.5 短絡容量対策
4.4 電圧上昇問題と品質対策
4.4.1 電圧上昇問題とは
4.4.2 電圧上昇抑制対策(高圧系統・配電用変電所)
4.4.3 低圧系統の電圧上昇抑制対策
4.4.4 その他の対策
4.5 電力系統の周波数維持を目的とした分散型電源の出力制御
4.6 新たな電力品質問題と対策案
4.6.1 単独運転検出機能に起因したフリッカ
4.6.2 低圧系統における高低圧混触事故時の課題
4.6.3 分散型電源の大量連系による電圧低下
第5章 配電ネットワークシステムにおける将来の技術動向
5.1 スマートグリッド
5.1.1 スマートグリッドの概念
5.1.2 スマートグリッドを取り巻く動き
5.1.3 各国のスマートグリッドに向けた取り組み
5.2 マイクログリッドの概要
5.2.1 マイクログリッドとは
5.2.2 マイクログリッド導入の意義
5.2.3 マイクログリッドの構成要素
5.3 次世代配電自動化システム(電圧集中制御)
5.3.1 電圧集中制御の概要
5.3.2 タップ制御指令方式
5.3.3 制御パラメータ指令方式
5.4 スマートインバータ
5.4.1 分散型電源の導入拡大に伴う系統課題
5.4.2 スマートインバータとDERMS
5.4.3 国外における分散型電源に係る規格化の動き
5.5 スマートメータ
5.5.1 計量器の歩み
5.5.2 スマートメータ導入の背景
5.5.3 スマートメータの機能
5.5.4 スマートメータシステムの構成と主な通信方式
5.5.5 スマートメータを活用した将来像
5.6 HEMS
5.6.1 HEMSの概要
5.6.2 HEMSの主な機能
5.6.3 HEMSの構成
5.6.4 ECHONET Liteの概要
5.7 ディマンドリスポンスとバーチャルパワープラント
5.7.1 情報通信技術の進歩と需要側リソース
5.7.2 ディマンドリスポンス
5.7.3 バーチャルパワープラント
5.7.4 アグリゲーション
5.7.5 適用領域
5.7.6 通信システム
5.8 将来の技術動向
5.8.1 配電ネットワークシステムを取り巻く現状
5.8.2 コネクト&マネージ
5.8.3 VPP/V2Gプラットフォーム(アグリゲータ/需要家向けプラットフォーム)
5.8.4 配電ネットワークシステムの将来像
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