内容紹介
安全性を組込みソフトウェアの設計に盛り込む方法を、基礎から二足歩行ロボットによる実践まで具体的に解説!
本書は,組込みシステムのソフトウェア設計における安全性の確保(セーフティ・バイ・デザイン)を,OSを用いないワンチップマイコンのソフトウェアで具体的に解説する書籍です.
コンピュータ搭載機器の機能安全を規定した基本となる規格として、IEC 61508(JIS C 0508)があります.また,ソフトウェアに関して,医療機器ではIEC62304(JIS T 2304),自動車ではISO26262があり,家電製品や生活支援ロボットなどその他の分野でも,ソフトウェアに関する安全性の規格が整備されつつあります.すなわち,ソフトウェアの設計者にとって,これらの規格を正しく理解して,個々の製品の仕様にきちんと落とし込んでいくことが現在では必須となっています.
しかし,規格というものはあらゆるケースを想定するがゆえに,一般的に表現が非常に抽象的で,個々の具体的な場合の取り組みの方法がわかりづらいものです.
本書ではIEC62304の考え方を参考に,ワンチップマイコンのソフトウェアの設計で安全性を確保していく方法を,おもちゃの二足歩行のロボットを例として具体的に解説していきます.
これからの組込みシステムのソフトウェア設計者にとって,必読の書籍です.
このような方におすすめ
企業の製品開発部門・品質保証部門の技術者
大学の電気工学・情報工学の研究者等
目次
主要目次
第1章 導入
第2章 ソフトウェアの安全性確保の考え方
第3章 ソフトウェア開発の効率化と信頼性向上
第4章 ソフトウェアアーキテクチャ
第5章 トレーサビリティ
第6章 C言語が備えるモジュール化のしくみ
第7章 具体例によるワンチップマイコンソフトウェア設計プロセスの解説
付録 おもちゃの二足歩行ロボットメカの作成について
詳細目次
第1章 導 入
1.1 ワンチップマイコンの現状と将来
1.2 ワンチップマイコンとそのプログラミングの特徴
1.3 開発環境の整備
1.4 プログラムの作成とマイコンへの実行形式プログラムの転送
1.5 プログラミングの肩慣らし
第2章 ソフトウェアの安全性確保の考え方
2.1 ソフトウェアの安全性確保について
2.2 リスク管理について
2.3 リスク分析について
2.4 リスクの評価について
2.5 リスク低減を意図した開発プロセスについて
2.6 安全規格が要求するソフトウェアアーキテクチャ設計と設計のトレーサビリティ
第3章 ソフトウェア開発の効率化と信頼性向上
3.1 ソフトウェア開発における課題
3.2 ソフトウェアアーキテクチャ設計および設計のトレーサビリティの効果
3.3 設計現場でのソフトウェア設計
3.4 ソフトウェアアーキテクチャ設計による設計の効率化
3.5 トレーサビリティによる品質リスクの低減
第4章 ソフトウェアアーキテクチャ
4.1 ソフトウェアアーキテクチャの概要
4.2 ソフトウェアへの要求事項の明確化
4.3 ソフトウェアの分割
4.4 インタフェースの抽出
4.5 ソフトウェアアーキテクチャの構築
第5章 トレーサビリティ
5.1 トレーサビリティ確保の必要性とメリット
5.2 規格が要求するソフトウェアの設計に関するトレーサビリティ
5.3 ハザードからリスクコントロール手段の検証までのトレーサビリティ
5.4 安全要求事項,仕様,設計,実装,試験の間のトレーサビリティ
5.5 トレーサビリティを活用した変更における影響範囲の特定と試験項目抽出の例
5.6 実使用を想定した非機能試験
第6章 C言語が備えるモジュール化のしくみ
6.1 関数・変数の有効範囲
6.2 ヘッダファイル
6.3 Cソースファイル
6.4 関 数
6.5 モジュール化のしくみの利用の仕方の例
6.6 モジュール化のサンプルプログラム
第7章 具体例によるワンチップマイコンソフトウェア設計プロセスの解説
7.1 設計プロセスの背景
7.2 顧客要求の明確化
7.3 主要機能と達成手段の検討
7.4 システムの明確化
7.5 リスクの抽出
7.6 ソフトウェア要求仕様の明確化
7.7 ソフトウェアアーキテクチャ設計
7.7.1 全体設計
7.7.2 機能別設計
7.8 リスクコントロール手段の検討
7.9 ソフトウェア詳細設計
7.10 トレーサビリティ
7.11 設計の文書化について
7.12 おもちゃの二足歩行ロボットのパソコンの通信プログラム概要
付録 おもちゃの二足歩行ロボットメカの作成について
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