内容紹介
新たなエネルギーインフラサービス構築のための必須知識を集約!
従来わが国単独で閉じてきた電力システムですが、かの震災以降、電気の輸出入の可能性や、いよいよ本格化をむかえた電力自由化により、国際規格への準拠が必要になってきています。時を同じくして、世界的にはスマートグリッド技術の進展に伴いさまざまな国際規格が標準化されつつあり、これらへの対応も求められています。
本書は電気事業者(電力会社)や需要家(受配電側のメーカやゼネコン・サブコンといった建設業者)が、国際標準に対応した製品を開発し、新たなエネルギーインフラサービスのシステムを実現・運用するために、国際標準規格群を俯瞰し、使用(適用)方法を平易に解説することで、わが国の特性を踏まえたエネルギーの利活用・システム構築の技術的ガイドラインをあたえる指南書です。電力技術のICT化にともない、注目される電力セキュリティも取り上げています。
このような方におすすめ
・電気事業者、需要家企業の技術者
目次
主要目次
1章 電力エネルギーサービスのパラダイム転換
2章 需給協調サービスと情報連携の必然性
3章 国内エネルギーサービスの適用例・枠組みと国際標準化対応
4章 システム標準化のための道具立て
―システム概念参照モデルと情報モデル―
5章 需要家のサービス実現に必要な相互運用性
と情報モデル
6章 サービス実現に必要な電気事業者ドメインの情報モデルの国際規格と使用ガイドライン
7章 電気事業者と需要家管のサービスインタフェース
8章 需要家エネルギー管理と需要抑制サービス
9章 家庭向けエネルギー管理システム
10章 サービス実現に必要なセキュリティの知識
索引
詳細目次
1章 電気エネルギーサービスのパラダイム転換
1・1 エネルギー政策と東日本大震災
1・2 電力システム改革
1・3 大規模集中型システムから分散型システムとの協調と需要のスマート化へ
1・4 デマンドレスポンスとネガワット取引
1・4・1 実施方法によるデマンドレスポンスの類型
1・4・2 買い手によるネガワット取引の類型と指針の策定
1・5 太陽光発電の連系拡大への対応
1・6 電気エネルギーシステムのパラダイム転換と分散型エネルギー資源の統合
1・7 電気事業者と需要家を結ぶ通信規格の概要
参考文献
2章 需給協調サービスと情報連携の必然性
2・1 系統安定化に需要家が寄与するためのインフラストラクチャ
2・1・1 電力取引の類型化
2・1・2 市場参加者間の情報連携
2・1・3 アンシラリーサービスの市場調達
2・2 電力需給の協調サービス
2・2・1 デマンドレスポンスの動向
2・2・2 Flexibilityの動向
2・3 電力需給情報の連携サービスに関する標準の体系
2・3・1 電力需給情報の標準化活動の相互関係
2・3・2 各標準の概要
参考文献
3章 国内エネルギーサービスの適用例・枠組みと国際標準化対応
3・1 ユースケース概要
3・1・1 ユースケースの目的
3・1・2 ユースケースとは
3・1・3 ユースケーステンプレート
3・1・4 ユースケースを集めているところ
3・2 海外のユースケース事例
3・2・1 EISアライアンスユースケースの概要
3・2・2 EISアライアンスのユースケースの類型化
3・3 国内実証サイトのユースケース事例
3・3・1 国内4実証のユースケース
3・3・2 東北実証プロジェクトのユースケース
3・3・3 国内4実証ユースケースの整理
3・4 ユースケースのモデル化
3・4・1 日本国内ニーズに基づくユースケースのIEC提案
3・4・2 電気事業者主導DRモデル(Model 1)
3・4・3 ビルエネルギー管理モデル(Model 2)
3・4・4 地域ビル群エネルギー管理モデル(Model 3)
3・4・5 電気事業者主導DRモデル(Model 4)
3・5 ユースケースの国際標準化対応
3・5・1 IECへの日本からの提案状況
3・5・2 IECにおける新たなユースケース取り纏めの動き
3・6 今後の展望と課題
3・6・1 我が国の事情を踏まえた需要家サービスの課題
3・6・2 IEC国際標準化提案に向けた今後の課題
参考文献
4章 システム標準化のための道具立て―システム概念参照モデルと情報モデル―
4・1 システム概念参照モデルとは
4・1・1 スマートグリッドにおけるシステムモデルの必要性
4・1・2 システム概念参照モデルの国際標準化状況
4・1・3 米国におけるシステム概念参照モデルの規格と使用ガイドライン
4・1・4 欧州におけるシステム概念参照モデルの規格と使用ガイドライン
4・2 情報モデルとは
4・2・1 スマートグリッドシステムの構造と情報モデルの必要性
4・2・2 情報モデルの国際標準化状況
4・2・3 日本のエネルギーサービスを実現するための情報モデル
4・3 今後のシステム,ネットワーク技術動向への対応
4・3・1 情報モデル実装の現状
4・3・2 システム,ネットワーク技術全般に関する今後の方向性
4・3・3 今後の情報モデルインタフェースについて
4・4 日本のエネルギーサービスと情報モデルによる相互運用性の在り方
参考文献
5章 需要家のサービス実現に必要な相互運用性と情報モデル
5・1 需要家の情報モデル国際標準
5・1・1 需要家の施設とエネルギー管理のための情報モデル
5・1・2 FSGIMの全体クラス構成
5・1・3 FSGIMの機能とクラス構成―施設内部の状態と制御
5・1・4 FSGIMの機能とクラス構成―施設外へのインタフェース
5・1・5 FSGIMの実装と課題―通信プロトコルへの展開(Conformance Block)
5・2 FSGIMによるエネルギー管理設定例
5・2・1 デマンドレスポンスの発動と実行
5・2・2 エネルギールータ(Energy Router)
5・2・3 集計(Aggregation)
5・2・4 時系列データ(Sequence)
5・2・5 負荷の需要抑制(Curtailable Load Control)
5・3 FSGIMの日本のエネルギーサービスへの適用
5・3・1 地域エネルギー管理への適用事例―地域・建物・設備
5・3・2 東北スマートコミュニティ事業を対象とするフィージビリティスタディ
5・3・3 ネガワット型デマンドレスポンス(Negawatt型DR)
5・4 日本からの情報モデルの国際標準FSGIMへの提案
参考文献
6章 サービス実現に必要な電気事業者ドメインの情報モデルの国際標準と使用ガイドライン
6・1 電気事業者ドメインの情報モデル―国際標準
6・1・1 IEC TC57における電気事業者ドメインのサービスと関連施設の情報モデル
6・1・2 電気事業者ドメインの情報モデル国際規格群の構成と対象アプリケーション
6・1・3 IEC TC57の情報モデルの機能とクラス構成
6・1・4 IEC-CIM規格の実装と課題
6・1・5 IEC-CIM規格によるエネルギーサービス
6・2 国際標準情報モデルの日本のエネルギーサービスへの適用例―東北スマートコミュニティ事業への国際標準の適用検討(フィージビリティスタディ)―
6・2・1 東北スマートコミュニティ事業の概要
6・2・2 システム概念参照モデルとドメイン間の情報の授受
6・2・3 ユースケース事例と既存IEC-CIMの対応付けと考慮点
6・2・4 FSGIMによる東北スマートコミュニティ事業の需要家システム表記
6・3 日本からの情報モデルの国際標準への提案
6・3・1 日本からIEC TC57への提案
6・3・2 国内ユースケースを実現するCIMのプロファイルの検討事例
6・3・3 既存規格と本ユースケースを実現する情報モデルとのギャップ分析
参考文献
7章 電気事業者と需要家間のサービスインタフェース
7・1 日本国内のデマンドレスポンスの背景
7・2 日本国内でのデマンドレスポンスの検討
7・2・1 デマンドレスポンスの技術と標準化の検討体制
7・2・2 デマンドレスポンスのための授受情報の標準化とOpenADR
7・2・3 デマンドレスポンスのユースケースの設定
7・3 OpenADR規格
7・3・1 OpenADR規格の体系
7・3・2 OpenADR 2.0の通信仕様の規定
7・3・3 OpenADR 2.0が対象とするサービス
7・3・4 OpenADR 2.0aとOpenADR 2.0bの違いと要件
7・3・5 OpenADR 2.0の通信サービスの交換シーケンスとペイロード
7・4 国内の自動デマンドレスポンス標準化
7・4・1 「デマンドレスポンス・インターフェース仕様書」の策定
7・4・2 「デマンドレスポンス・インターフェース仕様書」の概要と位置付け
7・4・3 日本版ADR実証事業と関連研究
7・5 OpenADRの今後の展望
参考文献
8章 需要家エネルギー管理と需要抑制サービス
8・1 需給家ドメインの概要
8・1・1 BEMSと需要家ドメインモデルの構成
8・1・2 需要家ドメイン内サービスインタフェース
8・1・3 BEMSの国際規格動向
8・1・4 スマートグリッドへのASHRAEの活動状況
8・2 BACnetの機能とファシリティ制御
8・2・1 BACnetの概要
8・2・2 BACnetのスマートグリッドにおける役割と有効性
8・2・3 FSGIMコンポーネントとBEMSの関係
8・2・4 BEMSにおけるDRの発動と実行のプロセス
8・2・5 BEMSのBACnetによる負荷制御
8・3 BEMSのスマートグリッド対応機能
8・3・1 BEMSのオープン化動向とスマートグリッド
8・3・2 BEMSのエネルギー管理機能
8・3・3 BEMSのスマートグリッド対応機能
8・3・4 BEMSを取り巻くスマートグリッド関連標準
8・4 需要家の電力削減モデル
8・4・1 中小需要家の電力削減
8・4・2 デマンド手動削減による効果検証
8・4・3 AMIインタフェースを用いたデマンド管理
8・5 クラウド活用サービスと需要家協調型スマートグリッド
8・5・1 クラウドサービスとアグリゲータの概要
8・5・2 クラウドサービスとデマンドレスポンス管理支援
8・5・3 YSCPにおけるデマンドレスポンスの概要
8・6 IEEE 1888のスマートグリッドへの適用
8・6・1 IEEE 1888規格とは
8・6・2 Fast ADR制御システム
8・6・3 IEEE 1888規格を用いたFast ADR制御
8・6・4 IEEE 1888規格によるOpenADR制御
8・6・5 IEEE 1888規格TRAP通信手順による即応性の確保
8・6・6 IEEE 1888通信スマートグリッドへの適用
8・7 今後の課題と展望
参考文献
9章 家庭向けエネルギー管理システム
9・1 家庭向けエネルギー管理システムの特殊性
9・2 家庭向けエネルギー管理システムの導入意義
9・2・1 HEMSのコスト計算
9・2・2 HEMSの目的
9・2・3 ユーザ視点から見たHEMSの導入意義
9・3 家庭向けエネルギー管理システムの構成
9・3・1 HEMSの物理配置,機能配置
9・3・2 ネットワークの構成
9・4 ECHONET規格
9・4・1 ECHONET規格の基本モデル
9・4・2 ECHONETと ECHONET Lite
9・4・3 ECHONET機器オブジェクト
9・4・4 その他のECHONETオブジェクト
9・4・5 ECHONET Liteの伝送メディア
9・4・6 ECHONET Liteの規格文書
9・4・7 ECHONET Liteの現状と今後
9・5 今後の課題と展望
9・5・1 ECHONET以外の規格との連携
9・5・2 統合ホームネットワークシステム
9・5・3 セキュリティ,安全性,プライバシー
参考文献
10章 サービス実現に必要なセキュリティの知識
10・1 セキュリティとは
10・1・1 スマートグリッドにおけるセキュリティの必要性
10・1・2 サービス実現に必要なセキュリティマネジメント
10・1・3 セキュリティに関する国際標準化動向と各国の動き
10・1・4 日本のエネルギーサービスの実現のためのセキュリティ要件
10・2 セキュリティに関する国際標準と使用ガイドライン
10・2・1 セキュリティに関する国際標準の概要
10・2・2 セキュリティに関する国際標準の規定
10・2・3 リスクの想定に基づくセキュリティ要件の設定
10・2・4 事例にそったセキュリティ要件の抽出手順
10・3 日本の実状に合わせたセキュリティ関係規格の適用事例
10・3・1 システム構成図と通信ネットワークインタフェース
10・3・2 論理インタフェースとセキュリティカテゴリ
10・3・3 セキュリティ要件の国内実証サイトによる検証
10・4 今後のコンピュータシステム技術,ネットワーク技術動向への対応
10・4・1 クラウド技術と電気エネルギーサービスのセキュリティ
10・4・2 IoT/M2M技術と電気エネルギーサービスのセキュリティ
10・4・3 ネットワーク技術と電気エネルギーサービスのセキュリティ
10・5 日本の電気エネルギーサービスの社会的セキュリティ対策の在り方
10・5・1 セキュリティ確保の背景と基本的な考え方
10・5・2 電気エネルギーサービスの社会的セキュリティ対策
10・5・3 情報モデルへのセキュリティ要件定義
参考文献
索引
続きを見る