内容紹介
本格活用が望まれる、地熱発電と地熱エネルギー利用のすべてを集大成した決定版
東日本大震災後、わが国のエネルギー政策は根本的に見直される必要性が強く指摘されています。そうした中、クリーンで安定した再生可能エネルギーである地熱エネルギーの利用が注目を集めています。わが国は、世界第3位の地熱資源保有国ですが、地熱発電量は世界第8位にとどまり、国内の総発電量の0.2%を担うに過ぎません。一方で、世界の地熱発電容量の70%のプラントを日本企業が供給しており、その技術は世界的に高く評価されています。
本書は、地熱発電をはじめとする地熱エネルギーの利用促進に積極的に取り組み、数々の提言を行っている日本地熱学会の編集により、地熱発電の原理と各種方式、探査技術、設計・施工技術、効率的な運用、環境評価、法制度の現状までを集大成したものです。
このような方におすすめ
○地熱発電関連企業の技術者、研究者
○地熱発電・地熱エネルギー利用にかかわる大学研究者、院生、学生
○日本地熱学会会員
目次
主要目次
第1章 地熱エネルギー:その開発の歴史と開発の流れ
第2章 地熱資源の探査,掘削,評価
第3章 地熱開発利用技術
第4章 地熱発電所の建設:計画から地熱発電所建設まで
第5章 地熱発電所の運用
第6章 地熱開発と環境
第7章 地熱発電の経済性評価
第8章 地熱開発と法制・政策
第9章 地熱開発の近未来と将来像
結語 わが国における地熱開発推進のための提言
詳細目次
第1章 地熱エネルギー:その開発の歴史と開発の流れ
1・1 地熱エネルギーとは
1・2 わが国の地熱開発の歴史
1・3 世界の地熱開発の歴史
1・4 わが国における地熱開発の現状と課題
1・5 地熱探査から地熱発電所建設に至るまでの一連の流れ
第2章 地熱資源の探査,掘削,評価
2・1 探査技術
2・1・1 地熱探査の手順
2・1・2 地質学的手法
2・1・3 地球化学的手法
2・1・4 物理探査法
2・2 掘削および坑井利用技術
2・2・1 掘削法
2・2・2 掘削関連技術
2・2・3 坑井内調査
2・2・4 坑井試験
2・3 資源量評価技術
2.3.1 資源量評価の手順
2.3.2 地熱貯留層工学の基礎
2.3.3 広域資源量評価(容積法)
2.3.4 地熱貯留層評価
第3章 地熱開発利用技術
3・1 地熱発電
3・1・1 フラッシュ式発電
3・1・2 バイナリー式発電
3・1・3 地熱特有の損傷について
3・2 直接利用
3・2・1 地熱直接利用
3.2.2 海外事例紹介
3・2・3 国内事例紹介
3・3 地中熱利用
3・3・1 地中熱とは
3・3・2 地中熱交換器
3・3・3 ヒートポンプと2次側システム
3・3・4 地盤の熱物性とサーマルレスポンス試験
3・3・5 地中熱利用ポテンシャル評価
3・3・6 経済性評価
第4章 地熱発電所の建設:計画から地熱発電所建設まで
4・1 発電計画および発電所建設の流れ
4・1・1 調査・評価段階
4・1・2 計画段階
4・1・3 許認可手続き段階
4・1・4 建設段階
4・2 国内の事例
4・2・1 大霧発電所
4・2・2 八丈島地熱発電所
4・2・3 澄川地熱発電所
4・3 海外の事例
4・3・1 ナ・アワ・プルア地熱発電所
4・3・2 アイスランドのネシャベトリル地熱発電所およびヘトリスヘイジ地熱発電所
第5章 地熱発電所の運用
5・1 地熱発電所の運転と管理
5・1・1 運用計画
5・1・2 運 転
5・1・3 保修管理
5・1・4 坑井管理
5・1・5 性能管理
5・1・6 環境上の諸対策
5・1・7 地熱発電所の遠方監視
5・2 地熱貯留層の維持・管理
5・2・1 地熱貯留層のモニタリング
5・2・2 生産井・還元井の相互干渉および坑井レイアウトの最適化
5・2・3 補充井の掘削
5・2・4 貯留層-坑井-配管流体流動連結解析による地熱貯留層の管理
5・3 運用例:国内既開発地点
5・3・1 松川地熱発電所の運転および維持・管理
5・3・2 八丁原地熱発電所の運転および維持・管理
5・3・3 滝上地熱発電所における地熱貯留層の維持・管理
第6章 地熱開発と環境
6・1 地熱開発の地球環境への貢献
6・1・1 地球環境問題の現状と予測(IPCC第4次報告書)
6・1・2 再生可能エネルギー開発への国の政策転換
6・1・3 地熱発電によるライフサイクル二酸化炭素排出の優位性
6・1・4 地熱流体に含まれる二酸化炭素
6・2 国立公園と地熱開発
6・2・1 国立公園内での地熱発電の取り扱いの変遷
6・2・2 自然公園内の地熱資源と国の政策転換
6・2・3 地熱発電事業に係る自然環境影響検討会の経緯
6・2・4 わが国の国立・国定公園の特徴と海外との比較
6・2・5 わが国の国立・国定公園の地熱資源の分布とコストの詳細な分析
6・2・6 地熱発電に関するゾーニング
6・2・7 優良事例を考える
6・3 地熱発電と温泉
6・3・1 地熱発電は温泉に影響するか
6・3・2 わが国における温泉影響事例の検証
6・3・3 温泉影響の定量的関係
6・3・4 温泉に影響を与える因子
6・3・5 温泉ガイドライン
6・3・6 地熱資源開発に係る温泉・地下水への影響検討会
6・3・7 より良いガイドラインを目指して
6・4 温泉と地熱開発との共生
6・4・1 温泉と地熱開発との共生の意義
6・4・2 温泉に影響しない地熱開発の進め方(技術的側面)
6・4・3 合意形成のプロセス(社会的側面)
6・4・4 温泉と地熱の共生事例
第7章 地熱発電の経済性評価
7・1 従来の経済性評価
7・1・1 地熱発電の経営形態
7・1・2 モデルプラントの発電コスト試算
7・1・3 地熱発電の実例の発電原価
7・2 事業としての地熱発電の経済性評価
7・2・1 経済性評価
7・2・2 具体的な経済性評価結果
7・3 モデルケースにおける経済性評価の試算例
7・3・1 経済性評価のフロー
7・3・2 モデルケースの試算例
7・3・3 試算結果
7・4 固定価格買取制度
7・5 他の発電方式の経済性
7・5・1 高温岩体発電
7・5・2 バイナリー式温泉発電
7・6 海外の地熱発電の経済性
7・6・1 米 国
7・6・2 ニュージーランド
7・6・3 フィリピン
7・6・4 インドネシア
7・6・5 ケニア
7・6・6 その他諸国
7・6・7 地熱発電のFIT価格
7・6・8 海外と日本の地熱発電の経済性比較
第8章 地熱開発と法制・政策
8・1 地熱開発促進のための政策の必要性・重要性
8・1・1 地熱開発の障害と政策の必要性
8・1・2 日本の地熱開発推進政策の変遷
8・1・3 2011年度までの地熱開発推進政策の内容
8・1・4 2012年度からの地熱開発推進政策の内容
8・1・5 わが国の地熱開発の法的枠組み
8・2 わが国の地熱開発における諸制度
8・2・1 概 要
8・2・2 資源調査,敷地造成,坑井掘削に伴う許認可手続き
8・2・3 環境影響評価
8・2・4 発電所建設
8・3 外国における地熱関連法制・政策
8・3・1 インドネシア
8・3・2 ニュージーランド
8・3・3 その他の国
8・4 地熱開発のための法制・政策のあり方
8・4・1 技術のイノベーションチェーンと政策
8・4・2 成熟度の高い地熱開発技術を支える総合政策
8・4・3 成熟度の低い地熱開発技術を支える総合政策
8・4・4 地熱開発のための理念の確立とそれを実行するための総合的な政策・制度
第9章 地熱開発の近未来と将来像
9・1 わが国における地熱開発の今後の将来予測
9・1・1 わが国の地熱資源量について
9・1・2 地熱発電の進展予測
9・2 未来型地熱発電の展開
9・2・1 高温岩体発電
9・2・2 マグマ発電
9・2・3 EGS技術開発
9・2・4 今後の地熱技術開発への期待
9・3 小規模地熱発電等の展開
9・3・1 小規模地熱発電の展開
9・3・2 温泉発電の展開
9・3・3 その他の方式について
9・4 地熱利用と地域振興
9・4・1 地域における地熱利用の形態
9・4・2 地域における地熱利用事業のステークホルダー
9・4・3 地熱利用による地域振興の未来像
結語 わが国における地熱開発推進のための提言
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