内容紹介
ナノテクノロジーに欠かせない走査型プローブ顕微鏡(SPM)がよくわかる本
走査型プローブ顕微鏡(SPM)は、操作しやすい汎用装置の普及により、近年ナノテクノロジー分野で広く利用されるようになっています。しかし、プローブ(先端の尖った探針)を用いて観察を行うSPMは他の顕微鏡とは違った動作原理を持つため、それに応じた観察方法や注意点があります。その一例として、アーティファクトと呼ばれる誤った画像を観察してしまうことが挙げられます。本書では、SPMの特徴を理解しやすいように原理・観察モードやプローブなどの基本的な事項に加え、起こりやすい問題とその対策を観察例と共に分かりやすく説明しています。また、問題が起きた際に解決するためのノウハウを集め、手元に置いておきたい1冊に仕上げました。本書は、SPM観察のために必要な技術を基礎から応用まで学べる、まさにSPM観察を行う技術者・研究者のための実務書です。
このような方におすすめ
ナノテクノロジー技術に興味がある大学学部生・大学院生
ナノテクノロジー分野の観察・分析に携わる技術者・研究者
目次
主要目次
1章 走査型プローブ顕微鏡(SPM)
2章 カンチレバー
3章 SPM測定モードの基礎
4章 SPMの基礎的な試料調製と観察方法
5章 SPM観察時の注意点
6章 より高度なSPM観察を行うために
7章 進化するプローブ顕微鏡技術
付録
詳細目次
1章 走査型プローブ顕微鏡(SPM)
1-1 顕微鏡の歴史
1-2 SPMの理論と原理
1-3 SPMの種類と特徴
1-4 SPMの機器構成
1-5 SPMの回路構成とフィードバック制御
2章 カンチレバー
2-1 カンチレバーとは
2-2 カンチレバーの形状とバネ定数
2-3 探針の先端形状
2-4 カンチレバーの種類と選び方
2-5 カンチレバー・探針の製造法
2-6 プローブの取り扱いの注意点
3章 SPM測定モードの基礎
3-1 走査型プローブ顕微鏡の多様な測定モード
3-2 原子間力顕微鏡(AFM)
3-3 電気的な測定を行う走査型プローブ顕微鏡―KFM,Conductive-AFM,SSRM,SCM,SNDM―
3-4 磁気的な測定を行う走査型プローブ顕微鏡―MFM―
3-5 表面物性を測定する走査型プローブ顕微鏡
3-6 走査型トンネル顕微鏡(STM)
4章 SPMの基礎的な試料調製と観察方法
4-1 試料調製の基礎
4-2 導体・半導体・絶縁体・薄膜
4-3 CNT・グラフェンなどのナノ材料
4-4 有機物・高分子・生体分子(大気中観察)
4-5 バクテリア・細胞・細胞組織・数~数百μmサイズの粒子
4-6 樹脂包埋・研磨サンプル・断面・ナノインプリント用モールド
4-7 電気測定(電流・KFM)
4-8 磁性材料 (MFM)
4-9 雰囲気制御(グローブボックス)
5章 SPM観察時の注意点
5-1 ノイズの発生と対策
5-2 ドリフトと帯電の対策
5-3 スキャンパラメータの調整方法
5-4 代表的なアーティファクト
5-5 探針先端形状と測定結果
6章 より高度なSPM観察を行うために
6-1 真空中観察
6-2 液中観察
6-3 Q値制御法(Q-control)
6-4 ピエゾスキャナの特性と校正
6-5 変位検出感度とバネ定数の測定法
6-6 NC-AFM―真の原子分解能を得るために―
7章 進化するプローブ顕微鏡技術
7-1 複合型顕微鏡
7-2 マルチプローブ顕微鏡
7-3 リアルタイムAFM観察
7-4 自励発振法を用いた液中AFM観察
7-5 FM-AFMによる液中原子・分子分解能観察
7-6 FM-KFMによる高分解能表面電位測定
7-7 qPlusセンサ
7-8 原子識別と原子操作
7-9 AFM/STM同時原子分解能観察
付録
1 SPMの各種測定モード等の略称と日本語名称一覧
2 開発・応用の歴史
3 SPM観察に便利な式
4 各種AFM方式における検出信号から力への変換
5 多重尺度法による定常振動の導出
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