内容紹介
風力発電技術やエネルギー経済の新しい展望を得るために、まずは歴史を振り返る。
本書は、風力発電の誕生、古典風車の時代(風力発電前史)から現代の洋上風力発電システムまで、風車開発・風力発電の歩みをたどるとともに、これからの技術・経済的な展望までを、国内外に題材を求めて概観しています。
日本太陽エネルギー学会の会誌連載講座計13回分(2010年1月~2012年1月)を元に、全体にわたって記述・表現を見直し再構成しました。
風力発電に関心を持つ方の入門書として、風力発電関連業界で働く実務者のための“知っておきたい基礎知識”として、専門技術者・研究者の観点で歴史に学ぶための解説書として、役立つ1冊です。
このような方におすすめ
環境科学、エネルギー工学、環境経済学、エネルギー経済学等に関心を持つ大学生
風力発電関係業界で働く実務者の“知っておきたい基礎知識”として
目次
主要目次
第1章 風力発電前史:古典風車のメカニズム
1.1 風車に関する最初の記録
1.2 中国における風車の発展
1.3 ヨーロッパにおける風車の発展
1.4 古典風車のメカニズム
1.5 参考文献
第2章 風力発電の誕生
2.1 風力発電の誕生
2.2 ウィンドミルからウィンドタービンへ
2.3 参考文献
第3章 20世紀初頭におけるデンマークの風力発電
3.1 デンマーク農村部での電力供給と風力発電
3.2 デンマーク風車の最初の「黄金時代」
3.3 参考文献
第4章 デンマーク風車の生き残りと発展の時代
4.1 「適切な風車」-不適切な時代-
4.2 1920年代の生き残り戦略
4.3 発電用の小型風車
4.4 FLSエアロモータ(Aeromotors)
4.5 コンクリート製タワーの問題点
4.6 3枚翼のエアロモータ
4.7 参考文献
第5章 J. ユールと系統連係方式風力発電機の誕生
5.1 ヨハネス・ユールの生い立ち
5.2 風と電気との初めての出会い
5.3 再び風のエネルギーへ
5.4 風力に関する知識の獲得
5.5 最初の試作風力発電機
5.6 ゲザー風力発電機
5.7 時代を先取りした風力発電機
5.8 参考文献
第6章 デンマークにおける風力の新たな開拓者と近代風力産業の出現
6.1 風力エネルギーの再発明
6.2 風力の先駆者クリスチャン・リーセア
6.3 ツヴィン風力発電機と新型ブレード技術
6.4 商品化されたツヴィンのブレード技術
6.5 中小企業の参画
6.6 安全のための指針
6.7 デンマーク方式とは
6.8 参考文献
第7章 デンマークにおける石油危機以降の風車開発と成功の秘訣
7.1 開発支援のための公的主導
7.2 再生可能エネルギーの進展を促進する枠組み
7.3 風車製造者部門の組織化
7.4 主要風車メーカの初期の歩み
7.5 1982~1986年のカリフォルニア輸出ブーム
7.6 1980年代の新規市場
7.7 技術スタイル
7.8 デンマークの技術スタイルの歴史的な基盤
7.9 技術革新ネットワークとイデオロギー連合
7.10 デンマークから学ぶこと
7.11 デンマークの風車のプリコラージュ
7.12 参考文献
第8章 20世紀における大型風力発電装置の開発
8.1 20世紀の大型風力発電機
8.2 1970年代中期以降の風力発電機の大型化
8.3 20世紀後半の大型風車開発
8.4 将来の風車技術
8.5 参考文献
第9章 洋上風力発電システムの歴史的検証
9.1 洋上風力発電の歴史的背景
9.2 ヒロニマスの洋上風力発電コンセプト
9.3 洋上風力発電の開発経緯
9.4 洋上風力発電の課題と展望
9.5 日本における洋上風力発電の可能性
9.6 次代を担う浮体型洋上風力発電システム
9.7 参考文献
第10章 日本における風力発電の歴史
10.1 風力の実用以前
10.2 明治から大正にかけての風力利用の揺籃期
10.3 満州大陸科学院における風力利用の研究開発
10.4 第二次大戦後の風車開発
10.5 サンシャイン計画における風車開発
10.6 参考文献
第11章 世界の小型風力発電機の歴史
11.1 20世紀初頭の小型風力発電装置
11.2 航空機搭載用の風車発電機
11.3 20世紀中期以降の小型風車発電機
11.4 ポルシェの風力発電装置
11.5 山田基博とその業績
11.6 現代の風車
11.7 参考文献