内容紹介
柔道整復術から柔道整復学へ
今までの柔道整復学は経験に基づく実学であったが、4年制の大学でもこれを取り扱うことになったのを契機に、柔道整復術が、経験的な施術・手技から柔道整復術独自の統一理論に裏打ちされた学問へと発展・展開しつつある。
また、地域社会に密着した「頼りになる」柔道整復師になるのみならず、日本伝統の施術・手技を携え、世界各地で活躍することができるグローバルな柔道整復師の育成を目指している。
本書では、経験則を大事にしつつ、理論的な展開の糸口を見つけることに重点を置き、類書にはない、わかりやすい図を多用し、今までにない教科書・参考書としてまとめてある。
このような方におすすめ
○ 柔道整復師養成校の大学・専門学校の学生
○ 柔道整復師を育てる大学・専門学校の教師
○ 既に活動している柔道整復師
目次
主要目次
第Ⅰ編 生命を支える基本的な要素
第1章 生理学への誘い
第2章 生命活動を担う分子と物質代謝
第Ⅱ編 ホメオスタシスと個体の維持
第3章 個体の恒常性の維持
第4章 自律神経系
第5章 内分泌系
第6章 生体防御
第Ⅲ編 個体と外界とのかかわり-刺激の受容と反応-
第7章 特殊感覚(5つの感覚)
第8章 一般感覚(体性感覚と内臓感覚)
第9章 刺激に反応するための効果器
第10章 受容器と効果器を連結する神経系
第11章 中枢としての神経系
第12章 中枢神経系の高次機能
第Ⅳ編 身体を構成する主な臓器の働き
第13章 種々の臓器の発生と分化
第14章 血液とその成分
第15章 心臓の働き
第16章 血管系およびリンパ系
第17章 骨の生理学
第18章 腎臓と泌尿器
第19章 呼吸器
第20章 消化器系
第21章 肝臓と栄養の吸収
第22章 生殖器官
索 引
詳細目次
第Ⅰ編 生命を支える基本的な要素
第1章 生理学への誘い
1.1 生理学の特徴 2
1.2 自然界の階層性 4
1.3 ヒトの身体の成り立ち 6
1.4 動的平衡の系としての生物と細胞内外における物質の動き 8
1.4.1 細胞膜を介しての物質の拡散 9
1.4.2 物質の浸透 10
1.4.3 細胞膜を介しての物質の濾過 10
1.4.4 物質の受動輸送と促通拡散 11
1.4.5 能動輸送 11
1.4.6 エンドサイトーシス 13
1.4.7 エクソサイトーシス 14
第2章 生命活動を担う分子と物質代謝
2.1 物質代謝の概念 15
2.2 生体の構成成分 17
2.2.1 糖質(糖類) 17
2.2.2 脂 質 21
2.2.3 タンパク質 23
参考 ごく微量で生命現象を支えるペプチド成長因子 30
2.2.4 核 酸 32
参考 DNA 2 重らせん構造発見のエピソード 37
2.2.5 ビタミンおよび無機塩 39
コラム 地球上の生命と太陽エネルギーと複合酵素系 40
2.3 酵素-生命活動を支える触媒- 40
2.3.1 酵素の一般的性質 41
2.3.2 酵素反応の特異性 45
おさらい 遺伝子と酵素の古典的な関係 47
2.3.3 ヒトの代謝異常と遺伝子 48
発展 アルドラーゼ遺伝子と果糖不耐症 50
2.3.4 エネルギーの通貨:ATP 51
参考 太陽エネルギーの固定:光合成 53
2.3.5 呼吸:グルコースからATP へ 57
参考 乳酸発酵とアルコール発酵 59
2.3.6 中間代謝 63
発展 ヒト体内のエネルギー代謝量の計測 68
第Ⅱ編 ホメオスタシスと個体の維持
第3章 個体の恒常性の維持
3.1 われわれを取り巻く2 つの環境 72
3.2 ホメオスタシスの概念 73
3.3 内部環境としての体液 73
3.4 体液の恒常性の維持 75
3.4.1 水分量の調節 75
3.4.2 浸透圧の調節 76
参考 海の魚と川の魚の苦労話 77
3.4.3 半透膜と選択的透過性 78
3.4.4 Na +量の調節とレニン- アンジオテンシン- アルドステロン系 78
3.4.5 水素イオン濃度(pH)の調節 80
参考 血液の水素イオン濃度(pH) 81
3.5 血液循環と内部環境 82
3.5.1 血液循環 82
3.5.2 ヘモグロビンによる酸素の運搬 83
3.5.3 二酸化炭素の搬出 85
参考 身体の各部における酸素および炭酸ガス分圧 87
3.5.4 体温変化と調節 87
3.5.5 体温調節の仕組み 89
3.5.6 発熱と設定温度説 91
第4章 自律神経系
4.1 交感神経系と副交感神経系の作用 93
4.2 交感神経幹と化学伝達物質 97
第5章 内分泌系
5.1 内分泌系・総論 100
5.2 内分泌系・各論 104
5.2.1 視床下部のホルモン 104
5.2.2 視床下部の働きの調節(フィードバック調節) 106
5.2.3 下垂体のホルモン 107
5.2.4 甲状腺のホルモン 109
5.2.5 副腎皮質および髄質のホルモン 111
5.2.6 膵臓のホルモン 114
参考 内分泌と外分泌の違い 118
5.2.7 生殖腺のホルモン 119
発展 植物にも大切なステロイドホルモン(横田孝雄) 121
第6章 生体防御
6.1 血液凝固 123
6.2 リンパ球と白血球による貪食 126
参考 ウイルス感染とインターフェロンと2 本鎖RNA 127
6.3 免疫反応 128
6.3.1 液性免疫 130
発展 抗体産生細胞の核で起こる遺伝子の組換え 132
6.3.2 細胞性免疫 134
6.3.3 アレルギー反応 134
発展 免疫系の分類とMHC(主要組織適合遺伝子複合体)(大島治之) 135
6.3.4 ワクチン 138
発展 自己と非自己の問題とわれわれの健康 139
第Ⅲ編 個体と外界とのかかわり-刺激の受容と反応-
第7章 特殊感覚(5 つの感覚)
7.1 適刺激と感覚の種類 142
7.2 光受容器としての目 145
参考 レンズの誘導 145
参考 赤外線を見る動物-毒ヘビ- 150
7.3 音受容器としての耳 150
参考 超音波を聴くコウモリ 154
7.4 平衡受容器 155
7.5 味覚と舌 156
7.6 嗅覚と鼻 158
第8章 一般感覚(体性感覚と内臓感覚)
8.1 体性感覚 160
8.1.1 皮膚感覚 160
8.1.2 深部感覚 161
8.2 内臓感覚 163
第9章 刺激に反応するための効果器
9.1 筋肉の種類 165
9.2 骨格筋の構造と機能 165
9.2.1 骨格筋の構造 165
参考 多核の筋肉細胞のでき方の解明 168
9.2.2 骨格筋の構造単位-筋節(サルコメア) 170
9.2.3 筋収縮の分子機構 171
9.2.4 骨格筋の収縮の生理学 174
9.2.5 筋収縮のエネルギー 175
参考 カエルの神経筋標本を用いた生理学実習 176
9.2.6 神経と筋肉の連結点-終板- 177
9.3 平滑筋の構造と機能 178
9.3.1 単ユニット平滑筋と多ユニット平滑筋 179
9.3.2 平滑筋の収縮のしくみ 180
9.4 心 筋 180
第10章 受容器と効果器を連結する神経系
10.1 神経系の構造 183
10.2 神経の興奮と活動電位 185
10.3 後過分極 187
発展 ナトリウムの膜透過性と膜電位の関係から-ボルテージ・クランプ-
188
10.4 神経興奮の閾値 189
10.5 細胞膜に存在するイオンチャネル 191
10.6 興奮伝導の三原則 193
10.7 興奮伝導の速度 194
参考 イオンチャネル発見の歴史とパッチクランプ(小松 明) 196
10.8 シナプスでの興奮伝達のしくみ 198
10.9 シナプスにおける情報の統合 200
第11章 中枢としての神経系
11.1 中枢神経系の全体構造 203
参考 神経系の系統発生 206
11.2 中枢神経系としての脳と脊髄の関係 207
参考 脳の構造と機能の発生進化学 210
11.3 中枢としての脳の構造と機能 212
11.4 中枢としての脊髄の構造と機能 213
第12章 中枢神経系の高次機能
12.1 視床下部による内臓機能調節 216
12.2 運動の調節 217
12.2.1 筋肉運動のモニター 217
12.2.2 小脳および大脳基底核を中枢とする運動 218
12.2.3 新皮質運動野と運動機能 218
12.3 中枢による各種の反射の調節 220
12.3.1 自律神経系による反射 220
12.3.2 体性運動の反射 221
12.3.3 脳幹を中枢とする反射 221
12.4 大脳皮質の高次機能 222
12.4.1 大脳皮質の組織細胞生物学 222
12.4.2 脳波と睡眠 224
12.4.3 条件反射という学習 225
12.4.4 本脳による行動と学習による行動 226
12.4.5 刷り込み現象 227
発展 痛みの脳内メカニズム(小松 明) 228
第Ⅳ編 身体を構成する主な臓器の働き
第13章 種々の臓器の発生と分化
13.1 哺乳類受精卵の卵割 232
13.2 3胚葉の形成と着床 233
参考 ヒトの発生とニワトリ発生の比較 235
13.3 3 胚葉から分化する各種の組織・器官 236
第14章 血液とその成分
14.1 血液の液体成分 240
14.2 血液の細胞成分 243
14.2.1 赤血球 245
14.2.2 白血球 248
14.2.3 血小板 248
14.3 血液型と輸血 249
14.3.1 ABO 式血液型 249
発展 ABO 型血液型物質は赤血球表面の糖鎖である 250
14.3.2 Rh 式血液型およびMN 式血液型 252
14.3.3 輸 血 253
第15章 心臓の働き
15.1 血液循環の全体像 255
15.2 心臓の構造と機能 256
15.2.1 心臓の構造 256
15.2.2 ポンプとしての心臓 260
15.2.3 心筋の収縮特性 261
15.2.4 心筋細胞の活動電位と心臓の収縮特性 263
参考 心電図(electrocardiogram:ECG) 265
第16章 血管系およびリンパ系
16.1 血液の循環 266
16.2 血管系の構造と機能 268
16.2.1 大動脈と細動脈 268
16.2.2 毛細血管と静脈 269
16.2.3 血 圧 271
16.3 血管系の調節 272
16.3.1 自律神経系による調節 272
16.3.2 液性因子による調節 275
16.4 脳脊髄液の循環 275
16.5 リンパ管系 276
第17章 骨の生理学
17.1 骨の構造 281
17.2 骨の発生・形成 284
17.2.1 膜性骨化 285
17.2.2 軟骨性骨化 285
17.3 骨の形成・分解 288
17.4 骨芽細胞と破骨細胞の仕事のバランス 289
17.5 骨の形成・分解の調節因子 291
17.5.1 カルシウムとリン酸の代謝とホルモン 291
17.5.2 ビタミンD と骨形成 293
17.5.3 ホルモン生産と骨代謝と骨形成異常 294
17.6 骨形成にかかわる成長因子 295
17.6.1 骨形成因子BMP の発見 295
17.6.2 BMP およびその他の成長因子の現す多彩な生物活性 297
第18章 腎臓と泌尿器
18.1 腎臓の構造と機能 300
18.2 糸球体における濾過と尿の生成 303
18.3 尿細管での再吸収 305
18.3.1 Na +とCl -の再吸収 305
18.3.2 水の再吸収 309
18.3.3 グルコースおよびアミノ酸の再吸収 312
18.3.4 集合管での不要成分の排泄 313
18.3.5 血液と尿の検査によるネフロン機能の推定 314
参考 動物により異なるアンモニアの排出法 316
18.3.6 排尿調節のしくみ 317
第19章 呼吸器
19.1 呼吸器の構造 319
19.2 肺における換気のしくみ 321
19.3 肺の換気量の分析 325
19.4 呼吸を調節するしくみ 327
参考 呼吸の異常と人工呼吸 329
第20章 消化器系
20.1 消化器系の発生:内胚葉からの発達 331
参考 下等な脊椎動物の消化管形成 331
20.2 消化器系の構造 333
20.3 消化器系の運動 334
20.4 消化液および消化管ホルモンの分泌 338
20.4.1 唾 液 338
20.4.2 胃 液 341
参考 胃酸に抵抗して巣食うピロリ菌の戦略 343
20.4.3 膵液と胆汁 345
20.4.4 腸 液 346
20.5 食物の消化と吸収 346
20.5.1 糖質の消化と吸収 348
20.5.2 タンパク質の消化と吸収 349
20.5.3 脂質の消化と吸収 351
第21章 肝臓と栄養の吸収
21.1 門脈と類洞 353
21.2 肝臓の5 つの働き 357
21.3 ビリルビンの腸肝循環 358
参考 食品と身体の健康(木暮 桂) 360
第22章 生殖器官
22.1 生殖器官の分化 364
22.2 男性生殖器の構造と機能 365
22.3 女性生殖器の構造と機能 367
22.4 妊娠・分娩・授乳 371
参考 脊椎動物の後期発生と胚膜形成 373
参考 人の身体部位の英語 375
索 引 381
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