内容紹介
モジュラーロボティクスのすべてがわかるはじめての教科書!
自己組織機械システムとは、自分で自分を組み立てる、自分で自分を修理する、環境に適応した運動パターンを獲得するといった機能をもつ次世代のロボットシステムである。この一冊で、その根底にある自律分散システムの考え方、歴史的発展の経緯、モジュラーロボティクスの現状、さらに未来の機械システムへの展望まで、この分野の研究の全体像がつかめる。数理的な方法論および機械・通信・ソフトウェア設計の実際について、多くの実例を用いて具体的に解説しており、モジュラーロボティクスへの格好の入門書となっている。
このような方におすすめ
〇機械系・情報系・システム系の大学・大学院の学生および研究者。
〇メカトロニクス関連企業の研究開発担当者・技術者。
〇自律分散システムの思想とその応用に興味のある方。
目次
主要目次
第1章 自己組織的設計論
第2章 生物システムにおける自己組織化
第3章 自己組織機械の系譜
第4章 自己組織機械の数理
第5章 自己組立てと自己修復
第6章 自己組織機械システムの研究事例
第7章 変形するロボット
第8章 運動の自己組織化
第9章 ハードウェアとプログラム
第10章 自己組織機械の未来
詳細目次
第1章 自己組織的設計論
1・1 還元論的設計論とその限界
〔1〕機械システムの構成要素
〔2〕機械システムの還元論的設計論
〔3〕モデルと最適化
〔4〕還元論的設計論の抱える問題
1・2 自律分散システムと自己組織化
〔1〕還元論的設計から自己組織的設計へ
〔2〕自律分散システムと自己組織的設計論
〔3〕自己組織機械システムの利点
1・3 自己組織機械システムの形態
〔1〕システムと要素
〔2〕要素の複雑さと数,結合の複雑さ
第2章 生物システムにおける自己組織化
2・1 生物システムにおける階層性
2・2 核酸 ~ハイブリダイゼーションによる二重らせん形成
2・3 タンパク質 ~折り畳み
2・4 セントラルドグマ
2・5 発生 ~細胞レベルの組立て
2・6 生物の自己修復
2・7 生物個体群の自己組織化
〔1〕細胞性粘菌
〔2〕社会性昆虫
〔3〕動物の群れ
〔4〕人間社会の形成
第3章 自己組織機械の系譜
3・1 フォン・ノイマンの研究
〔1〕フォン・ノイマンの二つの問題
〔2〕フォン・ノイマンの自己増殖オートマトン
〔3〕万能オートマトン ~運動学的モデル
〔4〕万能オートマトン ~細胞モデル
3・2 ペンローズの研究
3・3 自己複製の数理モデル
〔1〕ラングトンの自己複製ループ
〔2〕グラフオートマトン
3・4 自己複製の物理モデル
〔1〕細川の磁石システム
〔2〕クラヴィンスのメカトロニック自己集合システム
〔3〕グリフィスの自己複製システム
第4章 自己組織機械の数理
4・1 分散要素の特性
4・2 拡 散
〔1〕拡散方程式
〔2〕拡散場の傾斜
〔3〕反応拡散系とパターン発生
4・3 セルオートマトン
〔1〕拡散場
〔2〕流れの場
〔3〕ライフゲーム
4・4 分散アルゴリズム
〔1〕リーダー選挙問題
〔2〕生成木構成問題
〔3〕排他制御
〔4〕デッドロック
〔5〕信頼性
第5章 自己組立てと自己修復
5・1 自己組立て・自己修復の方法 ~均質ユニットのアプローチ
5・2 二次元ユニットのハードウェア
5・3 アルゴリズムの前提条件
〔1〕ユニットの固有識別子(ID)の有無
〔2〕通信方式,通信範囲
〔3〕時空間のシンメトリーブレーク
5・4 アルゴリズム(I) ~自己組立てのアルゴリズム
〔1〕目標形状の記述
〔2〕自己組立ての戦略
〔3〕シミュレーションと実験
5・5 アルゴリズム(Ⅱ) ~段階的な自己組立てと自己修復のアルゴリズム
〔1〕論理型と記述行列
〔2〕たまねぎ法
〔3〕たまねぎ法による自己組立てのシミュレーション
〔4〕たまねぎ法による自己修復
第6章 自己組織機械システムの研究事例
6・1 モジュラーロボットのクラス
6・2 格子型と鎖型
6・3 格子型のハードウェア設計における制約
〔1〕閉じた空間
〔2〕対称性
〔3〕運動の自由度
〔4〕コネクタ(結合機構)
〔5〕アクチュエータ
6・4 モジュラーロボットの開発事例
〔1〕CEBOT
〔2〕トラス型:フラクタルマシン
〔3〕トラス型:TETROBOT
〔4〕格子型:メタモルフィックロボット
〔5〕格子型:Crystalline
〔6〕格子型:マイクロモジュール
〔7〕格子型:CHOBIE
〔8〕格子型:三次元自在結合システム
〔9〕格子型:Molecule
〔10〕格子型:ATRON
〔11〕リプソンの自己複製モジュラーロボット
〔12〕鎖型モジュール:PolyPod,PolyBot
〔13〕鎖型:CONRO
〔14〕格子型:Craytronics
〔15〕不定形型:SlimeBot
6・5 格子型・鎖型からハイブリッド型へ
第7章 変形するロボット
7・1 システムの設計
〔1〕モジュール
〔2〕基本動作
〔3〕極性
〔4〕万能組立てと自己再構成
7・2 変形の計画問題
〔1〕変形手順の探索
〔2〕移動ロボット形態の変形
7・3 分散的な変形
〔1〕分散的変形の問題とグループ化
〔2〕理想モジュールを模擬するメタモジュール
〔3〕規則構造におけるメタモジュール
〔4〕平面型規則構造の動作
〔5〕セルオートマトン・モデルによる分散的変形
7・4 様々な変形
〔1〕規則構造からのロボットの生成
〔2〕ドッキングと組み込み
〔3〕自己複製
第8章 運動の自己組織化
8・1 ロボットの運動制御
〔1〕マニピュレータの手先位置制御
〔2〕脚型ロボットの歩行制御
〔3〕多自由度の移動ロボット
〔4〕運動制御系の設計
〔5〕M-TRANの分散型運動制御
8・2 結合振動子系
〔1〕拡散による同期
〔2〕引き込み
〔3〕位相差のつくり方
8・3 振動子による運動制御
〔1〕物理系との結合
〔2〕大域引き込み
〔3〕神経振動子
8・4 遺伝的アルゴリズム
8・5 M-TRANの運動制御
〔1〕CPG制御システム
〔2〕動力学シミュレーション
〔3〕GA最適化
〔4〕計算結果とプレイバック実験
〔5〕実時間CPG制御
〔6〕CPG制御の利点と課題
8・6 ロボットの進化
第9章 ハードウェアとプログラム
9・1 ハードウェア
〔1〕筐体と駆動機構
〔2〕結合機構
〔3〕搭載回路
〔4〕オプション
9・2 ソフトウェア
〔1〕M-TRANシミュレータ
〔2〕搭載プログラムの構造
〔3〕集中型変形のプログラム
〔4〕分散型変形のプログラム
9・3 誤差と信頼性
〔1〕寸法誤差
〔2〕構造変形
〔3〕誤差への対処
第10章 自己組織機械の未来
10・1 自己組織機械システムの課題
〔1〕モジュールのサイズ
〔2〕モジュールの数
〔3〕自己改変か自己集合か
10・2 メカトロニクスから分子機械へ
〔1〕DNAナノテクノロジーでつくる分子機械
〔2〕ナノテクノロジーから分子ロボティクスへ
10・3 究極の問題 ~階層の創発
参考文献
索 引
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