内容紹介
電力システムのモデリングとシミュレーションの手法を理解できる,いまだかつてない教科書!
「電気学会-オーム社教科書新シリーズ共同出版企画」の1巻で、電気・電子系の専門課目である電力システム工学の教科書。
本書では、電力系統を解析する手法としてのソフトウェアを取り上げ、発電所から送配電機器、負荷に至る系統のモデリングに加え、モデル化した電力系統のシミュレーション手法についての考え方を、計算例などの実例を交えながら詳しく解説している。
このような方におすすめ
電気・電子系学科に所属する大学学部3,4年生,大学院生
目次
主要目次
1章 発電機モデル
2章 励磁系モデル
3章 発電プラントモデル
4章 送変電機器と負荷のモデル
5章 パワーエレクトロニクス応用機器
6章 潮流計算
7章 電圧安定性解析
8章 故障計算
9章 安定度解析のためのシミュレーション手法
10章 周波数変動解析
11章 固有値解析と制御系の最適化
付録A 座標変換
付録B 行列演算
付録C 非対称実行列の一般的な固有値計算法
詳細目次
1章 発電機モデル
1.1 同期機の基本関係式
1.1.1 同期機の基本関係式
1.1.2 運動方程式
1.1.3 界磁諸量の単位
1.2 安定度解析のための同期機モデル
1.2.1 等価回路と定数
(1) 等価回路
(2) 定数
1.2.2 オペレーショナルインピーダンス
1.2.3 定常特性とベクトル図
1.2.4 磁気回路の非線形性による影響
(1) 飽和現象
(2) 飽和の表現方法
(3) 飽和と定数の関係
1.3 同期機の特性
1.3.1 P-δ曲線
1.3.2 AVR動作時のP-δ曲線
1.3.3 一機無限大母線系統での安定度
(1) 等面積法
(2) 同期化力とダンピング
1.3.4 突発短絡特性
演習問題
2章 励磁系モデル
2.1 励磁系の方式
(1) 直流励磁機方式
(2) 交流励磁機方式
(3) 静止形励磁方式
2.2 励磁電源のシミュレーションモデル
2.2.1 交流励磁機方式
(1) 標準モデルⅠ
(2) 標準モデルⅡ
(3) 標準モデルⅢ
2.2.2 静止形励磁方式
2.3 励磁制御系のモデル
(1) 静止形励磁方式の伝達関数モデル
(2) 交流励磁機方式の伝達関数モデル
(3) 直流励磁機方式の伝達関数モデル
2.4 励磁系の補助的な制御系のモデル
(1) 電力系統安定化装置
(2) 自動無効電力調整装置
(3) 自動力率調整装置
(4) 過励磁制限装置
(5) 不足励磁制限装置
(6) 負荷電流補償機能
2.5 励磁系設計の考え方
2.5.1 電圧調整に関わる定数
(1) 励磁系シーリング電圧(励磁系頂上電圧)
(2) 励磁系の速応度(ωc)
(3) 定常ゲイン
(4) 比例形AVRの定数設定の考え方
(5) 比例積分形AVRの定数設定の考え方
2.5.2 PSSに関わる定数
演習問題
3章 発電プラントモデル
3.1 プラントモデルの概要
(1) 速度調定率
(2) ガバナフリー運転
(3) 負荷制限運転(ロードリミット運転)
3.2 火力・原子力プラントモデル
3.2.1 蒸気タービン系
(1) 蒸気タービンの概要
(2) 蒸気溜めモデル
(3) 蒸気タービン系モデル
3.2.2 調速機
(1) 蒸気タービンの調速機の基本機能
(2) 調速機の種類
(3) 調速機モデル
(4) 周波数バイアス装置
(5) オーバースピード防止制御
3.2.3 蒸気供給系(ボイラ,原子炉)
3.3 水力プラントモデル
3.3.1 水車・水圧管路
(1) 理想水車(完全水車)モデル
(2) ポンプ水車特性を考慮した水車モデル
3.3.2 調速機
(1) ダンピングガバナモデル
(2) PIDガバナモデル
(3) 負荷設定変更時の応動例
3.4 コンバインドサイクルプラントモデル
3.4.1 ガスタービン
(1) 圧縮機出口温度
(2) ガスタービン入口温度
(3) ガスタービン出口温度(排ガス温度)
(4) ガスタービン出力
3.4.2 蒸気タービン・軸出力
(1) 蒸気タービン出力
(2) 軸出力
3.4.3 プラント制御系
(1) 制御の概要
(2) プラント制御系モデル
(3) コンバインドサイクルプラントの応動特性例
演習問題
4章 送変電機器と負荷のモデル
4.1 送配電線
(1) 線路の集中定数等価回路表現の誤差
(2) 地中線路
(3) 配電線路
(4) その他直列機器
4.2 変圧器
4.3 調相設備
4.4 負荷モデル
(1) 電圧・周波数特性
(2) 調相設備の分離
(3) 負荷の脱落特性
(4) 誘導機モデル
演習問題
5章 パワーエレクトロニクス応用機器
5.1 他励式直流送電システム
5.1.1 他励式変換器
(1) 回路構成
(2) 転流動作
(3) 順・逆変換器運転
(4) 転流失敗
5.1.2 他励式変換器の特性
(1) 他励式変換器基本関係式
(2) PQ可制御領域
5.1.3 他励式直流送電システムの構成
5.1.4 他励式直流送電システムの制御
5.1.5 交流フィルタ
5.2 自励式直流送電システム
5.2.1 自励式変換器
(1) 回路構成
(2) PWM制御
5.2.2 自励式変換器の特性
(1) 交流出力電圧
(2) PQ可制御領域
5.2.3 自励式直流送電システムの構成
5.2.4 自励式直流送電システムの制御
5.3 FACTS機器
5.3.1 SVC
(1) 機器構成と動作
(2) SVCのシステム制御
5.3.2 STATCOM
(1) 機器構成と動作
(2) STATCOMのシステム制御 -SVCとの無効電力補償特性比較-
(3) 系統安定化制御からみたSTATCOMとSVCの差異
5.3.3 UPFC
(1) 機器構成と動作
(2) UPFCのシステム制御
(3) UPFC構成を持つ瞬低補償装置
5.3.4 その他のFACTS機器
(1) IPFC
(2) TCSC
5.4 分散形電源連系装置
5.4.1 太陽光発電連系
5.4.2 風力発電連系
(1) 二次励磁方式
(2) 直流リンク方式
5.4.3 電力貯蔵装置
演習問題
6章 潮流計算
6.1 潮流計算の基本式
6.1.1 アドミタンス行列(Y行列)
6.1.2 既知変数と未知変数
6.1.3 電力方程式
6.2 潮流計算の解法
6.2.1 潮流計算手法の分類と特徴
6.2.2 ニュートンラフソン法
6.2.3 直角座標潮流計算
(1) PQ指定ノードの場合
(2) PV指定ノードの場合
(3) 基準ノードの場合
6.2.4 PQ分割潮流計算
6.2.5 直流法潮流計算
演習問題
7章 電圧安定性解析
7.1 電圧安定性の基礎特性
7.1.1 P-Vカーブ
7.1.2 P-Vカーブの特性
7.1.3 P-Vカーブの作成
7.2 電圧安定性解析
7.2.1 電圧不安定現象
7.2.2 電圧不安定のシミュレーション
7.2.3 代表的な電圧安定性指標
演習問題
8章 故障計算
8.1 故障計算の用途
8.2 対称座標法
8.2.1 対称座標法の原理
8.2.2 正相・逆相・零相分変数
(1) 正相分インピーダンスと逆相分インピーダンス
(2) 零相分インピーダンス
(3) 変圧器の等価回路
8.2.3 故障計算の定式化
8.3 故障計算の方法
8.3.1 Y行列による系統計算
8.3.2 故障電流解
(1) 3LG故障
(2) a相1LG故障
(3) bc相2LS故障
8.3.3 故障計算の具体的方法
(1) インピーダンス挿入による故障計算
(2) 故障電流注出による故障計算
8.3.4 送電線上の故障計算
8.4 短絡電流計算
演習問題
9章 安定度解析のためのシミュレーション手法
9.1シミュレーションの全体構成
(1) 初期値の設定
(2) 系統計算
(3) 同期機と系統との結合
9.2 シミュレーションにおける擾乱の設定
(1) 設定値変更および意図的な擾乱発生
(2) 事故の模擬
9.3 シミュレーションのための数値積分手法
(1) 広義のルンゲクッタ法
(2) 陽的ルンゲクッタ法
(3) 陰的ルンゲクッタ法
(4) 可変時間刻みによる長時間シミュレーションの高速化
演習問題
10章 周波数変動解析
10.1 平常時の周波数制御とシミュレーション
10.1.1 平常時の周波数変動と制御分担
(1) サステンド成分
(2) フリンジ成分
(3) サイクリック成分
10.1.2 平常時の周波数変動シミュレーション
(1) 系統と負荷の表現
(2) プラントの表現
(3) 系統全体の制御の表現
(4) 連系系統のシミュレーション
10.2 緊急時の周波数制御とシミュレーション
10.2.1 緊急時の周波数制御
(1) プラントの制約
(2) 周波数異常時の系統の周波数特性
(3) 緊急時制御
10.2.2 緊急時周波数制御のシミュレーション
演習問題
11章 固有値解析と制御系の最適化
11.1 固有値解析の基本式
11.1.1 定態安定度の概念と基本方程式
11.1.2 電力系統構成要素のモデル化
(1) 発電機(同期機)
(2) 送電網
(3) 負荷特性
11.1.3 多機系統の線形微分方程式
11.2 固有値・固有ベクトルと定態安定度
11.2.1 数学的定義と主な性質
11.2.2 線形微分方程式の解と安定性
(1) 推移行列による解の求め方
(2) 固有値,固有ベクトルによる解のモード分解
(3) 動揺モードの物理的意味
11.3 大規模系統の固有値解析
11.3.1 S行列法の概要
11.3.2 S行列法の原理
11.3.3 電力系統のS行列と演算の効率化
11.4 固有値感度解析による制御系最適化
11.4.1 固有値感度解析の手法
11.4.2 PSS定数最適設計手法
(1) PSS設置箇所の選定
(2) PSS定数の最適化
演習問題
付録A 座標変換
A.1 対称座標変換
A.2 αβ変換
A.3 dq変換
A.4 fb変換
付録B 行列演算
B.1 行列の三角化分解
B.2 連立方程式の求解
B.3 逆行列要素の算出
B.4 大規模回路行列の特徴
B.5 新しい非ゼロ要素の出現
B.6 新しいブランチの出現
B.7 最適ノード順序づけ
B.8 電力系統解析への応用
付録C 非対称実行列の一般的な固有値計算法
C.1 全ての固有値を求める方法
C.2 絶対値最大の固有値を求める方法(ベクトル反復法)
C.3 ランチョス法
C.4 逆反復法
演習問題解答
参考文献
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